【鍼灸最前線】アルコール使用障害の鍼

2018年3月10日、アメリカ・ラトガーズ医科大学発表
「 アルコール使用障害の鍼 」
Acupuncture for alcohol use disorder
Pei Chen et al.
Int J Physiol Pathophysiol Pharmacol. 2018; 10(1): 60–69.
Published online 2018 Mar 10.

アルコール依存性ラットの内関(PC6)・神門(HT7)・足三里(ST36)・三陰交(SP6)に電気鍼をしたところ、アルコール摂取量が減ったという論文です。

この論文を読んで面白かったのは、韓国が築賓(ちくひん:KI9)をアルコール使用障害の特効穴として使った研究をしていることです。

2014年9月
「築賓(KI9)の鍼は、アルコール依存症患者のアルコール渇望を減らす:ランダム化プラセボ対照試験」
Effect of Zhubin (KI9) acupuncture in reducing alcohol craving in patients with alcohol dependence: A randomized placebo-controlled trial.
Lee JS et al.
Chin J Integr Med. 2015 Apr;21(4):307-11.
doi: 10.1007/s11655-014-1851-1. Epub 2014 Sep 24.

足少陰腎経・陰維脈の郄穴(げきけつ)である築賓を解毒に用いるというのは、日本の沢田健(さわだ・けん: 1877-1938 )先生が最初に言われたと記憶しています。
ただし、沢田健先生は朝鮮の釜山で鍼灸治療所を経営して、1922年(大正11年)に日本に帰国し、 1927年(昭和2年)の中山忠直「漢方医学の新研究」で50歳で有名人となりました。
この1927年に代田文誌(しろた・ぶんし)先生が弟子入りしています。だから、築賓が解毒のツボというのは、ひょっとしたら韓国の伝承かもと思ってしまいます。

EBMではドイツの出版社シュプリンガー社が発行している『中国医学』にイギリス・ヨーク大学のヒュー・マクファーソンらが発表した論文があります。

2016年12月15日
「アルコール依存を減少させる介入としての鍼:システマティックレビューとメタ・アナリシス」
Acupuncture as an intervention to reduce alcohol dependency: a systematic review and meta-analysis
Charlotte Southern,Hugh MacPherson et al.
Chinese Medicine201611:49
DOI: 10.1186/s13020-016-0119-4
Published: 15 December 2016

以下、引用。

【結論】この研究はアルコールへの切望やアルコール離脱症候群を減らすことに鍼が有効であることを初めて示したものである。英国の国家的ヘルスケアシステムにおいて、紹介される付加的オプションとして考慮されるべきである。
Conclusion:This study showed that acupuncture was potentially effective in reducing alcohol craving and withdrawal symptoms and could be considered as an additional treatment choice and/or referral option within national healthcare systems.

以上、引用終わり。

このシステマティックレビューは、1,378人が参加した15のランダム化比較試験を含みます。

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