二十四節気の「処暑」

2017年8月23日
「立秋の後にもまた暑がある?24節気の処暑は、辛味を少なくして、酸味を増やして、子(23時ー1時)と午(11-13時)に睡眠をとる」
立秋後又有「暑」? 處暑養生需少辛增酸睡子午覺

以下、引用。

彭溫雅中医師が言うには、夏と秋が交代する時期は、夏に辛味で味が濃いものを食べる飲食習慣をあらためるのは困難であり、このために口舌は乾燥し、胃腸の収縮が変化し、乾咳や便秘の問題をひきおこしがちである。

彭溫雅中医師が言うには、水分を補給し、滋陰潤燥の食物を主とし、辛味を減少させ、酸味を増やす。中医学は肺は金に属し秋に通じるとしており、辛味の食べ物は少なくし、肺気が太過になることを防止する。肝は木に属し、肺金は肝木を相克するので、肺気が盛んになりすぎると肝気が損傷する。そのため秋は酸味を増やす。酸味は潤して肺の収歛を助ける。これが秋の肺陰を保護するためである。

酸味を多く含む食物はフルーツで、サンザシやブドウ、柚子やザクロは秋の季節に食べる酸味のフルーツである。

これは標準的な中国伝統医学の食養生の理論になると思います。

たまに、日本の「薬膳」のホームページを読むと、「秋は肺を養うために辛味をとる」と普通に書かれていて驚愕します。
それ、間違いです!
正反対です!

個人的意見ですが、肺気虚の治則、補肺気と肺失宣粛の宣発と粛降の意味、さらに、肺陰虚の治則、養陰清肺の違いが分かっていないのだと思います。

宣発の「宣」は宣伝の宣です。治療院の宣伝ではチラシを街中に撒き散らします。

宣発の「発」は爆発の発です。爆発や発散では外に怒りやストレスを撒き散らします。

肺の宣発が強くなると気は外に出ます。呼吸の「呼」です。

肺の宣発が強くなると詰まった鼻が通ったり、汗が出ます。ツボで言うと、合谷、迎香、大椎などは肺の宣発機能を高めるツボです。

粛降の「粛」は清粛の粛です。粛清とは党内をキレイにすることです。肺の粛が弱くなると気管に痰がたまります。

粛降の「降」は気を下に降ろすことです。呼吸の「吸」です。

肺の粛降機能が弱くなると、痰がたまり、逆気となって咳や喘息となります。
肺の粛降機能を高めるツボは、尺沢、ダン中(CV17)、曲池などです。

肺は宣発で息を吐き、粛降で息を吸います。

風邪が皮毛に入り、肺の宣発機能が失調する

冬の「風寒束表証(ふうかんそくひょうしょう)」では、例えば辛味で温性で発汗作用のあるネギとショウガのスープを飲んで、布団をかぶって発汗します。

辛味で温性の食材で辛温解表して発汗すれば、カゼは体表から追い出されます。

しかし、夏に発汗過多で夏ばての肺気虚となっている半健康人がさらに辛味をとるのはあまり得策ではないと思います。

肺気虚の補肺気の食材の代表は、秋が旬の銀杏です。

銀杏は秋にできて、白いです。
白は五色で肺の色です。
四気(四性)では平性または温性であり、味は甘味・渋味・苦味であり、帰経は肺経と腎経に入ります。
効能は歛肺定喘、止帯、縮小便です。

虚弱児の小児喘息には、昔からギンナンが勧められています。

『本草綱目』では「色白属金,故能入肺经,益肺气,定喘嗽,缩小便」「熟热,温肺益气,定喘嗽,缩小便,止白浊。生食,降痰,消毒杀虫。」と温肺益気と定喘が強調されています。

小児喘息の虚弱児が白色で肺経に入り、甘味で補気するギンナンを秋に常食するのは補肺気になると思いますが、カゼもひいていないのに発汗作用のあるものを秋にとって宣肺するのは良くないと思います。

この季節にできてくるは典型的な肺陰を補う食材です。
四性(四気)は寒性で、五味は甘味・微酸味、帰経は肺経と胃経、肝経です。
『本草綱目』では「潤肺涼心、消痰降火」と書かれ、肺陰を潤し、イライラを取り、渇きを取り、咳を止めます。

柿も肺を潤す食材です。
四性(四気)は寒性で、五味は甘味・渋味、帰経は肺経と大腸経、胃経です。
清代、王士雄著の『随食居飲食譜』では「鮮柿甘寒。養肺胃之陰, 宜于火燥津枯之體。」と書かれ、胃熱ののどの渇きを取り、肺陰を養います。

梨も柿を多食すると大腸を冷やして、下痢をします。陰を補い、気を下に降ろします。

葡萄の四性は平性、五味は甘味・酸味で、帰経は腎経・肺経・脾経です。
清代、王士雄著の『随食居飲食譜』では「甘平。補氣, 滋腎液, 益肝陰, 養胃耐饑, 禦風寒, 強筋骨,通淋逐水, 止渴安胎」と補腎・補気の作用が強いです。

邵輝先生のご意見では、秋は補肺陰と補腎の要素を入れたほうが良いそうです。

石榴(ざくろ)の四性は温性、五味は甘味と酸味、帰経は大腸経と腎経です。
『本草綱目』では「止瀉痢,下血,脫肛,崩中帶下」と書かれ、止瀉と収歛作用があります。

茄子【氣味】甘,寒,無毒。
志曰︰凡久冷人不可多食,損人動氣,發瘡及痼疾。
李鵬飛曰︰秋後食,多損目。
時珍曰︰按︰《生生編》云︰茄性寒利,多食必腹痛下利,女人能傷子宮也。

「秋茄子は嫁に食わすな」は寒性だからのようです。

【主治】寒熱,五臟勞(孟詵)。治溫疾傳尸勞氣。醋摩,敷腫毒(大明)。老裂者燒灰,治乳裂(震亨)。散血止痛,消腫寬腸(時珍)。

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