推拿:揉法(じゅうほう)

推拿のソフトな揉法(じゅうほう)です。

1889年、清代、張振均(ちょうしんきん)著、『厘正按摩要术』には、「揉法をもって、これを和す。揉法は手をゆっくりと回す。軽く、緩やかなのが宜しい・・・この揉法は摩法より発達した」とあります。

摩法(まほう)は温補法です。

小児がお腹を冷やして下痢をしたら、お母さんはお腹を円を描くように撫でます。これが「摩法」の基本です。お腹が温かくなります。揉法もソフトにゆっくりと指を回すと気が集まってきます。

指揉法ではツボを指で揉みます。前揉法や後揉法の指の動きです。
小児推拿の古典の「揉内労宮(揉内劳宫)」は、労宮穴を揉みます。

以前、抜鍼した後は出血を押さえるためにギューっと持続圧迫するとおっしゃっていた鍼灸師の先生がいらっしゃいましたが、それは後按法(こうあんぽう)であって後揉法(こうじゅうほう)ではないと思います。「揉」という言葉の意味がわかっていないです。

古い鍼の本では「前揉撚(前揉捻)」や「後揉撚(後揉捻) 」という表現もあります。

この場合、鍼の十四法の手技の「撚(ねん)」の意味で、回転させるという意味だから、昔の鍼灸の先生は本当に漢字の意味を分かっていたのだと思います。

ソフトな揉法は補法ですが、圧迫(按法)しながら指を回す按揉法は瀉法になります。気は散ります。

切診の理論では、実証では拒按になり、虚証では喜按になります。

しかし、マッサージをしていると、持続圧迫の按法は平気でも揉法はくすぐったいなど、触診方法によって患者さんの反応が違います。

これらは『鍼灸大成』の小児按摩や小児推拿を研究した成果です。
手法によって気の動きが変わります。

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