戊戌の五之気と秋分

秋分から五運六気の五之気となります。
主気は陽明燥金(燥気)で、客気は少陰君火(火気)です。

金元四大家、張従正著『儒門事親』五之気の記述をまとめたものです。

以下、引用。

【秋分以降の五之気】

9月23日の秋分から11月23日の小雪の間の五之気の病では喘息が多発し、嘔逆し、咳嗽や婦人の往来寒熱が起こり、小児は皮膚病となる。五之気の病では表裏双解・理気の小柴胡湯で半表半裏を治療するのが良い。

五行の金の季節に肺病の喘息や咳嗽が多発するのはわかります。ただ、往来寒熱は少陽胆経の病気です。

研究会では10年ほど前から「秋の肝陽上亢・肝欝気滞がある」という議論がありました。これは秋に冷房が切れると体が勘違いをして春の肝陽上亢・肝欝気滞のような症状が出るというものです。

さらに秋は太陰の季節であり、陰虚の患者さんは陰虚症状が出やすくなります。800年前の張従正が指摘したように、五行の金が木を相克して起こるという側面もあるようです。

秋はなぜか中年女性の往来寒熱の症状は出やすいです。西洋医学では自律神経失調症です。
往来寒熱は典型的な『傷寒論』の少陽病の症状であり、小柴胡湯が使われます。小柴胡湯は
半表半裏を和解する方剤で少陽経を理気します。

個人的には、秋に往来寒熱や少陽病の症状はでやすいと感じています。秋はマッサージなどで理気すると良いし、鍼灸も同じ印象があります。

【燥金欝の病】
ゆえに民は咳逆を病み、心腹痛は鼡径部にひき、よく突然に痛み、かえって寝返りもできない。のどが乾き、顔はくすむ。これは五行の金が木を相克する病である。

これも陰虚による気逆・気滞の症状の印象があります。

【五之気】
9月23日の秋分から11月23日の小雪の間の五之気は陽明燥金と対応している。故に金気が旺盛となり、脈は細脈・微脈となる。

【燥金・肺・辛・清鍼】
肺は大腸と表裏し、西方は金であり、色は白であり、外は皮毛・鼻と応じて気をめぐらせる。乾姜は辛熱、生姜は辛温、薄荷は辛涼(であり、肺病の治療に用いる)。もろもろの気欝はみな肺金に属する。その治療法は清法、清隔、利小便、解表発汗である。肺経の井穴の少商を刺す。灸もまた同じである。

これも秋は気欝が起こりやすいという見解です。
秋の治則は清法、清隔、利小便、解表発汗というのは印象的です。

2018年は戊戌(ぼ・じゅつ)の歳です。戊(土の兄:つちのえ)、戌(いぬ:五行では土)
の干支となります。五行では土が重なります。

五運六気学説では太陽寒水司天、太陰湿土在泉、火運太過です。

太阳寒水司天,太阴湿土在泉,中见太征火运,岁火太过

初の気:主気は「厥陰風木」で、客気は「少陽相火」
二の気:主気は「少陰君火」で、客気は「陽明燥金」
三の気:主気は「少陽相火」で、客気は「太陽寒水」
四の気:主気は「太陰湿土」で、客気は「厥陰風木」
五の気:主気は「陽明燥金」で、客気は「少陰君火」
終の気:主気は「太陽寒水」で、客気は「太陰湿土」

(戊戌の歳の)五之気では、秋分の初寅(10月1日)から小雪の初子(11月28日)の約60日であり、太商で主気は五行の金に応じて客気は少陰君火で中見は火運である。主気と客気が同じで、気化を司らず、時令がここに至り、陽は復化し、草はすなわち長じ変化して成る。民はすなわちのびやかである。少陰の客気を調整するのが宜しい。鹹味でこれを補い、甘味でこれを瀉し、酸味でこれを収する。

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