日本伝統医学「杉山真伝流」の穴性理論

『杉山真伝流』における穴性概念の萌芽について
浦山 久嗣『日本医史学雑誌』 第 60 巻第 2 号(2014)
(無料オープンアクセス)

これは日本の江戸時代、杉山真伝流で穴性理論の萌芽がみられたという画期的な論考です。
近代中国鍼灸の父、承淡安先生の弟子で、1934年に『針灸実用指要』で穴性を提唱した羅兆琚先生や1936 年に『鍼灸精粹』で穴性を明記した李文憲先生が中医学鍼灸の穴性理論のさきがけとなります。

1985年 李世珍『常用シュ穴臨床発揮』
1985年 高立山『鍼灸心悟』
などで穴性理論は整理されます。

江戸時代の杉山真伝流では、以下のように論じられています。

中かん:
其の用に五有り。
諸虚不足を補ふが故に、専ら諸もろの気脱を復し陽を回らすは一なり。
元気を益すは二なり。
脾胃を健やかにするは三なり。
血分を収め血虚を補うは四なり。
湿を燥かし燥を滋すは五なり。

肺兪:
其の用いる所の者は肺気の壅ぎ遏めたるを開き衝かし、肺気を下降させ、衛栄をして循還せしむる策たるのみ。

膈兪:
痰飲を治すに殊に奇効有り。此れ乃ち痰の本を治す。……膈兪は上は心火の、下は肝木の陽気の純なるを得、一に能く蔵府の水湿を泄す。湿痰も陽気を得れば開く。

邵輝先生に「膈兪は去痰作用がある。治痰には膈兪」と教えていただき、膈兪、鳩尾、巨闕を痰病に使ってきた私としては、江戸時代の杉山真伝流と一致していたのだと驚きました。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする