高血圧と鍼治療

2015年8月19日『サイエンスデイリー』
「高血圧患者は鍼治療をするメリットがあると研究者は発見した」
Hypertensive patients benefit from acupuncture treatments, study finds

カリフォルニア大学アーヴァイン校の有名な鍼灸研究者であるジョン・ロングハースト教授が2015年8月の『メディカル・アキュパンクチャー』に発表したものです。これは鍼灸の循環器領域における歴史的な研究です。

原著論文
「高血圧患者への電気鍼の長期持続的な血圧降下:ランダム化比較試験」
Long-Lasting Reduction of Blood Pressure by Electroacupuncture in Patients with Hypertension: Randomized Controlled Trial.
Peng Li .John C. Longhurst .et al.
Medical Acupuncture
Vol. 27: Issue. 4: Pages. 253-266
(全文フリー・オープンアクセス)

以下、『メディカルデイリー』より引用。

これは中国伝統医学がマイルドな高血圧の治療として利点があると科学的に確証した最初の研究である。そして定期的な鍼の利用は患者の血圧をコントロールし、心筋梗塞や心臓病のリスクを減らす。

「この臨床研究はこの10年間の研究領域におけるベンチマークという以上の最高到達点と言える」とカリフォルニア大学アーヴァイン校の循環器学者でサミュエル統合医療センターの前理事長は言う。

「西洋科学を使って古代中国医学を厳密に立証した、われわれは西洋医学と東洋医学を統合し、アメリカにいる何百万人もの治療ガイドラインの利点の提供に影響を与える」

ロングハーストとカリフォルニア大学アーヴァイン校のDr.ペン・リーとステファニー・チェンは薬物療法を受けていない65人の高血圧患者で実験を行った。

ランダムに2つのグループに分け、身体の違う場所のツボに低周波通電する電気鍼を受けさせた。

33人のグループは左右の手首の内側と膝の少し下に電気鍼を受けた(※大稜ー内関、足三里ー上巨虚)。研究者たちは被験者の70パーセントに顕著な血圧降下を発見した。収縮期血圧で平均6〜8㎜Hg、拡張期血圧で4 mmHgの下降で、この改善は1ヶ月半持続した。

また、このグループでは血管を収縮させ、血圧を上げグルコースレベルを上げるノルエピネフリンの血中濃度は41パーセントとなり、腎臓で産生されて血圧をコントロールするレニンは61パーセントとなり、電気鍼は電解質をコントロールするホルモンのアルドステロンを22パーセントに減少させた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする