レーザー鍼の得気

「イエス!レーザー鍼でも『得気』は存在します!」
Yes, there is deqi sensation in laser acupuncture.
Litscher G.
Evid Based Complement Alternat Med. 2013;2013:198254. 
doi: 10.1155/2013/198254. Epub 2013 Feb 20.

尊敬しているレーザー鍼の第一人者、オーストリア、グラーツ医科大学のゲルハルト・リッシャー先生の論文です。

ドイツの医師ゲルハルト・バッハマンのもとで学んだウィーンの外科医ヨハネス・ビシュコがオーストリアで、鍼を普及しました。

ヨハネス・ビシュコは1954年にオーストリア鍼協会をつくり、1972年にはルートヴィヒ・ボルツマン鍼研究所をつくり、鍼麻酔をウィーン総合病院で行い、ウィーン科学鍼灸学派を形成し、ウィーンをヨーロッパの科学的鍼灸の中心としました。

この帝王切開を含む数百例の鍼麻酔手術をおこなったヨハネス・ビシュコがオーストリア・ウィーンでつくったのがICMART(International Council of Medical Acupuncture and Related Techniques)です。ICMARTは医師による科学的鍼灸を追求した団体で、現在の科学的鍼灸の国際的な中心の一つになっています。オーストリアはヨーロッパにおける科学的鍼灸研究の中心の一つです。

ゲルハルト・リッシャー博士は、レーザー鍼でも得気が起こることを論じています。

また、中国でも熱敏灸で有名な江西中医薬大学付属医院教授の陳日新先生は、灸の得気が灸の治療効果に影響を与えると論じています。

2013年「灸による『得気』と非=得気感覚の効果比較:変形性ひざ関節症の治療におけるマルチセンター・プロスペクティブ・コホート研究」
Comparative effectiveness of the deqi sensation and non-deqi by moxibustion stimulation: a multicenter prospective cohort study in the treatment of knee osteoarthritis.
Evid Based Complement Alternat Med. 2013;2013:906947

この研究は灸の得気感覚の科学的証拠を提供し、灸の熱敏感覚が変型性ひざ関節症の治療効果に望ましいことを示している。

鍼の得気の研究は非常に面白い状況になっています。

まず、響かせるという意味の得気したほうが筋肉の局所の血流量は増加するのは明らかです。また、鎮痛効果も強くなります。

しかし、同時に中国で張心曙先生が1979年に発表した手根鍼・足根鍼は全く響かせない鍼で効果を出しています。中国が発表した論文で「日本鍼や中国の手根足根鍼は響かせないでも効果を出している」として、現在の世界的な得気研究に疑問をなげかけるものもあります。

「鍼麻酔における神経生理学的メカニズム」
ヨハネス・ビシュコ『日本鍼灸治療学会誌』
Vol. 27 (1978-1979) No. 2 P 25-30

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