立夏の天人相応、因時制宜

「自殺の季節変動の各国間、年代間の比較研究」
江頭 和道, 阿部 和彦
『日本生気象学会雑誌』
24 巻 (1987) Supplement1 号 p. 34

北半球では3月頃から自殺が増え、5月から7月にピークを迎えます。精神科病院の入院者数も同じ傾向があります。北半球では、日本だけが6月に自殺者数の減少が観察されます。これは梅雨で日照量が減るからだといわれています。20年以上の観察では、3月の立春や春分など節気の日の前後3日は自殺が多い印象があります。

2018年は5月5日の立夏から8月7日の立秋までが旧暦の夏です。夏は五行では火の季節であり、五臓では心と対応します。

5月から7月は心火上炎による不眠や精神症状が増える印象があります。舌尖は紅くなります。

中医学では天人相応、因時制宜の原則があります。季節によって人体は変化するので季節によって治療法を変えます。

5月から7月、気温は高くなり、人体の火が燃え上がり、心煩といって不眠、不安、落ち着かない、イライラなどの症状が出ます。

ちょうどその時期、自然界では「夏も近づく八十八夜」で緑茶ができます。緑茶は苦味で寒涼の性質があり、小腸経から利尿して降気します。

また、五穀の心の穀である麦もできます。夏になると麦茶や冷や麦、素麺、ビール(麦酒)がおいしくなります。暑さで体が火照る時にビールや麦茶、緑茶を飲むと気が下に降りるのでスーッと体が冷えて気が落ち着き、尿がたくさん出ます。夏が過ぎると麦茶はさほどおいしく感じませんが、まるで天地自然が夏は苦味の麦茶や緑茶で体の熱を尿で追い出すように勧めているようです。

麦は甘麦大棗湯にも配合されている漢方の生薬です。甘麦大棗湯は精神安定の処方です。

2019年5月3日
「立夏の養生は清熱降火、健脾去湿である」
『立夏養生清熱降火、祛溼健脾!中醫師最養胃氣食療這樣吃』

この記事では山薬(ヤマイモ)を養胃として勧めています。

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