製薬マネーが診療ガイドラインを歪める

2019年7月1日『東京新聞』
『<税を追う>理事9割に謝金7億円超 主要19医学会にも製薬マネー』

以下、引用。

国内の主要な19医学会の理事を務める医師の9割近くが2016年度、製薬会社から総額7億円を超す講師謝金などを受け取っていたことが分かった。薬の処方量が多い内科系の学会が多くなっていた。理事らは推奨薬など治療の最新情報をまとめた「診療ガイドライン」を執筆する機会も多く、有力な医師に製薬マネーが集中している実態が浮かんだ。

19学会の405人の理事のうち352人が16年度、日本製薬工業協会(製薬協)に加盟する製薬会社71社から講演料や原稿執筆料、コンサルタント料で総額7億2450万円を受け取っていた。

日本内科学会が最も多く計1億5050万円。22人の理事全員が製薬会社から謝金収入があり、最高額は1918万円、一人当たりの平均は684万円だった。次いで日本泌尿器科学会が1億800万円、日本皮膚科学会が8090万円だった。

学会などで作成する各分野の診療ガイドラインの執筆に加わった医師にも謝金が集中していた。ガイドラインには治療に適した推奨薬が記載されることが多く、全国の医師が診断や治療の際に参考にする。

斎藤氏が16~18年に作成された胃がんや肺がんなど6つのがんの診療ガイドラインを調べたところ、執筆した医師326人の78%に上る255人が16年度、計3億7900万円を受け取っていた。

おいしすぎる話です。

日本は、製薬会社72社が年間4,827億円を医師に支払っています。製薬会社1社あたり67億円になります。降圧剤ディオバンのデータ捏造をしたノバルティス・ファーマは奨学寄附金として346億円を医大に支払っていました。ディオバンの売上は年間1,000億円以上だったので、1年で奨学寄附金分を余裕で回収できました。

2014年04月06日 『毎日新聞』
「<製薬会社>72社 医師や医療機関に年間4827億円提供」

以下、引用。

◇国の医療分野研究開発関連予算の2.5倍

2013年度に業界団体「日本製薬工業協会」に加盟していた70社と加盟社の子会社2社が、12年度に医師や医療機関に提供した資金の総額が4827億円に上ったことが分かった。国の医療分野の研究開発関連予算1955億円の2.5倍にも上る。降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験疑惑で問題になった奨学寄付金は346億円だった。各社が製薬協の新ルールに従って順次公開した金額を毎日新聞が集計した。製薬業界から医師に流れた資金の全体像が明らかになったのは初めて。

4827億円の内訳は、
▽新薬開発のための臨床試験費用など研究・開発費2471億円
▽研究室への奨学寄付金や学会への寄付金など学術研究助成費540億円
▽医師個人への講師謝礼や原稿執筆料など270億円
▽医師を集めての講演会や説明会の開催費など情報提供関連費1428億円
▽接遇費など115億円。

ちなみにアメリカは7,800億円です。

2015年7月1日『フォーブス』
「ビッグ・ファーマ(巨大製薬会社)は、漏斗で医師に何十億ドルも注ぎ続けている」
Big Pharma Continues To Funnel Billions To Doctors

以下、引用。

最近のブルームバーグのヘッドラインニュースによれば、医師たちは65億ドル(当時の7800億円)を製薬会社から受け取っている。

アメリカの医学雑誌もひどいもので、2017年に『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)』に調査報告が掲載されました。

2017年11月9日『ケアネット』
「米医学誌の編集委員医師、半数が企業から金銭/BMJ」

以下、引用。

編集委員医師713人中、2014年に製薬企業などからコンサルティング料や講演料、食費、旅費などの一般費の提供を受けたのは、約半数の361人(50.6%)だった。

一般費の平均は約2万8,000ドル、研究費の平均は約3万8,000ドル。

持ち出しで学問をやっている真面目な人文科学・社会科学の学者からみたら信じられない世界です。

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