神経可塑性と神経再生

2018年12月17日『科学的根拠に基づいた補完代替医療』
「鍼治療と神経可塑性の進歩」
Advances on the Acupuncture Therapies and Neuroplasticity
Cun-Zhi Liu, Jian-De Chen, and Meng Zhang 
Evid Based Complement Alternat Med. 2018; 2018: 7231378.
Published online 2018 Dec 17. doi: 10.1155/2018/7231378

以下、引用。

神経病に対して鍼が神経保護作用があるという3つの論文がある。まず一つ目はグオ(広州中医薬大学)によるもので、「電気鍼は認知障害を改善し、成人ラットでの海馬のシナプス形成を促進する」という論文であり、幼少期の母子分離による海馬の認知障害に対して海馬シナプス形成を通じて電気鍼は治療効果があるというものである。

これは海馬のシナプス形成を通じて、鍼はPTSDや幼少期トラウマに効くかもしれないという理論的根拠を提供しています。個人的な臨床経験からも「鍼は記憶を書き換える」可能性が高いです。そして、その鍵となる鍼灸の手技があります。

2018年広州中医薬大学『電気鍼は成人ラットでの認知障害を改善し、海馬のシナプス形成を促進する』
Electroacupuncture Ameliorates Cognitive Deficit and Improves Hippocampal Synaptic Plasticity in Adult Rat with Neonatal Maternal Separation
Lili Guo
Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine
Volume 2018, Article ID 2468105, 9 pages

以下、引用。

カルバリ(イタリア・ピサ大学)による論文は、炎症や頭蓋内浮腫、酸素ストレス、神経再生に関連した急性の深刻な脳損傷への鍼の治療効果を報告している。鍼はIGFー1ホルモンの不均衡をコントロールして痙性をとり、神経再生クライシスのインシデントを減らす。リによる論文は、脊髄損傷への電気鍼は神経線維の成長や下肢運動機能回復を促進し、脊髄損傷への強力な治療になりうることを示している。

現在、世界中で脳振盪などの深刻な外傷性脳損傷に対する治療法が模索されており、アメリカでは軍隊やアメリカンフットボールの現場で鍼が効いているという症例報告があります。

鍼の機序は神経可塑性と関連しており、海馬など脳のレベル、脊髄損傷、末梢神経の神経再生などの全てのレベルで基礎研究が急速に進んでいる印象があります。

2018年9月12日イタリア・ピサ大学
「深刻な急性脳損傷のマネージメントにおける鍼の役割」
Role of Acupuncture in the Management of Severe Acquired Brain Injuries (sABIs)
Loredana Cavalli,et al.
Evid Based Complement Alternat Med. 2018; 2018: 8107508.
Published online 2018 Sep 12. doi: 10.1155/2018/8107508

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