手針療法の謎

10月27日の手鍼セミナーのために中国手針療法を調べている時、大村恵昭先生の『北朝鮮の手鍼は、母指が頭部のマップである』という記述がありました。

中国の手鍼療法は文化大革命時代の混乱期にできて、創始者不明でマップも文献ごとに違うのですが、私が持っている手鍼模型では母指に「下垂体」「頚頸」「頸椎」「上下顎」「扁桃体」など頭頸部を思わせるツボが存在します。しかし、「落枕」と「咽喉」という手鍼穴は第2・第3中手指節関節あたりに「頸咽区」として存在します。また、手鍼の小指の横紋にある「夜尿点1.2」は、小児推拿のツボ「腎穴」や「命門穴」でもあります。

推測ですが、現在の中国手鍼療法は3つぐらいの手鍼療法を組み合わせたキメラ、または奇穴の集合体なのではないでしょうか。

中国の文献を調べても中国式手鍼療法が1960年代に開発されたという記述はありますが、誰が見つけたかわかりません。中国の文献では『常用新医疗法手册』(中国人民解放军广州军区后勤部卫生部编:1970年人民卫生出版社)が初出とされています。

日本では、1972年小林良英先生の『中国の新しい治療点 : 手針穴・耳針穴・新穴・奇穴の図表解とその臨床の実際』(小林良導絡研究所)と、和田清吉先生の1973年『手鍼法』が確認できました。

1973年『手鍼法』
和田 清吉
『日本鍼灸良導絡医学会誌』
1973 年 2 巻 4 号 p. 15-16

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