腫瘍への電気鍼の効果:間葉系幹細胞と組織修復

2017年、インドネシア、ブラウィジャヤ大学
『アジアン・パシフィック・ジャーナル・オブ・キャンサー・プリベンション』
「『発がん物質7,12-ジメチルベンズ(a)アントラセン』誘発乳ガンラットの血清インターフェロンガンマを電気鍼治療は増加させる」
Electro-Acupuncture Therapy Increases Serum Interferon-γ Levels in Rats with 7, 12 Dimethylbenz(α)anthracene (DMBA)-Induced Breast Tumors
Laily Yuliatun,
Asian Pac J Cancer Prev. 2017; 18(5): 1323–1328.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28610421

2017年から2019年の鍼の基礎研究は結合組織、グリア細胞の神経可塑性、幹細胞、組織修復、肥満細胞、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞などの免疫と再生医学です。電気鍼の世界では神経再生など大変化が起こっています。

以下、引用。

インターフェロンガンマは、(がん細胞を溶かす)ナチュラルキラー細胞を調節することができるサイトカインである。電気鍼刺激はベータエンドルフィンを増加させてインターフェロンによって調節されるナチュラル・キラー細胞を増加させる。

鍼は自律神経をコントロールする免疫システムを増強させ、ジョンストンと同僚の仮説では、足三里の刺激は脳におけるニューロトランスミッター神経伝達物質を活性化させる。

皮膚に鍼を刺すと一酸化窒素合成酵素を導き一酸化窒素産生が増加する。

一酸化窒素は脊髄ニューロンを通じて脳にシグナルを送る。

鍼は視床下部ー脳下垂体ー副腎HPA軸を刺激して内因性オピオイド神経伝達物質、ベータエンドルフィンをリリースさせる。ベータエンドルフィンは脳から血流にのり、身体の免疫細胞を含む場所に届く。その結果、ヘルパーT細胞I型においてインターロイキン2の産生を刺激する。インターロイキン2はナチュラルキラー細胞の活性化を導き、ナチュラルキラー細胞によってインターフェロンガンマが産生され、他のサイトカインの産生も増加する。

これらのサイトカインは腫瘍細胞に対して腫瘍殺傷性や細胞融解性の活動を有しており、腫瘍の成長を抑制する。マウスと人間の研究において足三里(ST36)の鍼はインターフェロンガンマとナチュラルキラー細胞を増やす。

われわれの実験結果や他の研究により、マウスと人間において足三里(ST36)への鍼はインターフェロンガンマのレベルとナチュラル・キラー細胞の活動を強化することが示唆されている。

2018年3月、『インドネシアン・ジャーナル・オブ・キャンサー』にインドネシアトップのインドネシア大学医学部鍼灸部門が足三里(ST36)、肝兪(BL18)、脾兪(BL20)への電気鍼についての論文を発表しました。

2018年3月
「C3Hマウスの乳房腺がんモデルの末梢血スメアにおけるリンパ球カウントのパーセンテージに対する電気鍼の効果」
The Effect of Electroacupunture on the Percentage of Lymphocyte Count on the Peripheral Blood Smear of C3H Mice Breast Adenocarcinoma Model
Rizki Kamalia et al.
Indonesian Journal of Cancer • March 2018
http://www.indonesianjournalofcancer.or.id/…/artic…/view/551

鍼は電気鍼においてリンパ球に影響を与えることで免疫機能に効果的である。鍼は乳がん患者の付加的治療と考慮されることができる。

2018年4月にはインドネシア大学医学部のジャンニ・アディヴィンナタ・パウィタン先生が「鍼の経絡経穴におけるさまざまな幹細胞とその推定される役割」という論文でボンハン小体=原始脈管系(PVS)と幹細胞の関係を論じました。

2018年4月「鍼の経絡経穴におけるさまざまな幹細胞とその推定される役割」
Various stem cells in acupuncture meridians and points and their putative roles
Jeanne Adiwinata Pawitan
J Tradit Complement Med. 2018 Oct; 8(4): 437–442.
Published online 2018 Apr 3.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30302323

2018年5月1日、アメリカ・インディアナ州立大学が『幹細胞(ステムセル)』に革命的な論文を発表しました。合谷(LI4)ー曲池(LI11)、大椎(GV14)ー百会(GV20)の電気鍼をすると脳の視床下部を通じて交感神経システムが活性化し、脂肪組織での間質性幹細胞がインターロイキン10やコラーゲンなどの組織修復を強め鎮痛をもたらします。

2018年5月1日「電気鍼は、脳中枢神経(CNS)依存性の間質性幹細胞(MSC)の放出を促進する」
Electroacupuncture promotes CNS-dependent release of mesenchymal stem cells
Tatiana E. Salazar,et al.
Stem Cells. 2017 May; 35(5): 1303–1315.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5530374/

以下、引用。

電気鍼は感覚神経節と交感神経システムを活性化して間質性幹細胞が組織修復を強めることができるようにして炎症サイトカイン産生と明白な鎮痛緩和をもたらす。

さらに2019年2月にインドネシアのウィタ・サラスワティ先生が「子宮頸部扁平上皮がん患者のナチュラルキラー細胞と腫瘍サイズへの電気鍼の効果:ランダム化比較試験」で鍼とナチュラルキラー細胞、腫瘍縮小について論じました。

2019年2月7日『メディカル・アキュパンクチャー』
「子宮頸部扁平上皮がん患者のナチュラルキラー細胞と腫瘍サイズへの電気鍼の効果:ランダム化比較試験」
Effect of Electroacupuncture on Natural-Killer Cells and Tumor Size in Patients with Cervical Squamous-Cell Carcinoma: A Randomized Controlled Trial
Wita Saraswati,et al.
Medical Acupuncture
Published Online:7 Feb 2019
https://doi.org/10.1089/acu.2018.1316

以下、引用。

【結果】鍼治療グループはコントロール対照群と比較してナチュラルキラー細胞の数は顕著に増加し、腫瘍サイズは顕著に減少した。

【結論】子宮頸部扁平上皮がんのステージ2bから3bで1週間50mgの4サイクルの化学療法と足三里の電気鍼を受けた患者は末梢血におけるナチュラルキラー細胞が増加し、子宮頸部ガンが減少した。

現在、2億3,000万人のインドネシア人口は中国・インド・アメリカに次いで世界4位です。インドネシアの人口は2030年までに9000万人が増加して3億2,000万人となり、アメリカと同程度の経済規模の世界4位(1位中国、2位インド、3位アメリカ)となると予測されています。

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