新型コロナウイルス診断における核酸検査とCT検査:感度と特異度と偽陰性

2020年2月10日
『CT映像は新型コロナウイルス肺炎診断のスタンダード?:専門家:非常時に間違ってはいけない』
CT影像为新冠肺炎诊断标准?专家:非常时期宁错勿漏

以下、引用。

中国の国家衛生健康委員会と国家中医薬管理局は『新型コロナウイルス感染肺炎診療計画(試行第5版)』を出版印刷したが、まさに疑似症例は肺炎の映像特性をもって湖北省では臨床診断の標準としている。

ウイルス核酸検査(リアルタイムPCR検査)こそが最終的に新型コロナウイルス肺炎を診断するゴールドスタンダードである。しかし、「CTは陽性でPCR核酸検査は陰性」という検査結果は臨床的な診断に影響する。現在、新型コロナウイルス肺炎のPCR核酸検査は特異度が高く感度は低いため偽陰性の可能性を排除できない。

教育において2つの考え方が存在すると思います。一つは教科書的にカリキュラムにしたがい、一つ一つ順番に教えるやり方です。もう一つはいきなり現場にたたきこんで生き残る人だけが生き残る荒っぽいやり方です。

ソ連で最高の銃AKー47をつくったミハイル・カラシニコフは銃をつくる教育など一度も受けたことがなく図面もひけなかったのですが、戦場という現場で史上最高の銃であるAKー47カラシニコフを作りました。ベトナムのヴォー・グエン・ザップ将軍は正式な軍人としての教育を受けたことはありませんが、現場で奇想天外な戦略を駆使し、ディエンビエンフーの戦いでフランス軍を破り、ベトナム戦争でアメリカ軍を破り、中越紛争で中国軍を破り、国連常任理事国に3連勝しました。

今回の新型コロナウイルス肺炎は、報道はされていませんが、中医学が大活躍しており、日本で西洋医学や中医学を学ぶなら最高の現場になると思います。情報が錯綜し、ベテランを含む誰もが間違いを犯しながら学習していきます。

臨床検査では感度と特異度があります。感度とは「疾患を有するもののうち検査が陽性となる割合」です。インフルエンザ迅速診断テストの感度が53.9%というのは、100人のインフルエンザ成人感染患者がいたとして、インフルエンザ迅速診断テストで検査しても成人の場合53~54人しか陽性にならないという意味です。47人は「インフルエンザではない」と診断されます。

特異度とは「疾患のないものが検査で陰性となる割合」です。インフルエンザ迅速診断テストの特異度が98.2%というのは、100人の健康人がいたとしてインフルエンザ迅速診断テストで検査したら98人は陰性となります。特異度98.2%はある程度、健康人を検出できることを意味します。だから、実際は感度と特異度から尤度比を導き出してオッズで考えます。

現在の逆転写PCR検査法(核酸検査:RT‐PCR)は逆転写ポリメラーゼ連鎖反応で、RNAが逆転写して生成したDNAを検出するので最も確実です。

しかし、武漢では検査キット自体が少なく、しかもウイルスの核酸量が少ないと陰性となるので感度が低いため、CT画像で肺炎の徴候をみつけたら早めに治療するのが理想的になります。 それで武漢の現場で働いている医師の先生方は、CT画像で肺炎の徴候をみつけたら早めに隔離して治療をはじめるという診断方法を提案されました。

以下、引用。

(6時間以上がかかる核酸検査と比較して)CT検査は簡単で直観的で、基本医院に普及している。CTは補助診断だといっても現在の新型コロナウイルス肺炎との厳しい形勢では武漢では「交差感染を減少させる非常手段」として採用できる。CT検査が陽性なら核酸ウイルス検査PCRが陰性でも患者を隔離する。非常時に間違って漏れをつくってはいけない。この方法で感染源を抑制し、感染ルートを遮断する。

これは非常時に最も過酷な戦場で闘っている現場の医師によるリアルな意見だと思います。
CTでは肺炎の徴候があるが、PCR検査で新型コロナウイルスのRNАから生成されたDNAはみつからない偽陰性の治療こそが重要だということです。

偽陰性の患者が家に帰ってしまい、家族にうつしたら、その家族は全滅します。その惨事を防ぐために偽陰性を治療対象とします。

この偽陰性の対処法は教科書には書いていません。現実には日本のインフルエンザの臨床現場で起こっていることですが臨床的現実です。

中医学分野でも、陝西省の中医師の先生方は新型コロナウイルス肺炎の偽陰性の患者への処方まで提案されています。

2020年2月9日『西安新聞網』
「陝西省の中医医院は新型コロナウイルス肺炎の軽症および疑似症状に対する『中研清瘟護肺湯』を提案する」
陕西省中医医院研制出治疗新冠肺炎轻症和疑似症的“中研清瘟护肺汤”
http://news.xiancn.com/content/2020-02/…/content_3550429.htm

陝西省の呼吸器の名中医の曹利平先生の処方だそうです。

現実の臨床の場は「偽‐陽性」と「偽‐陰性」ばかりであり、混乱した不確定な状況で失敗から学習して経験を積みながら結果を出すことを求められます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする