コロナウイルスは9日間、生存する

2020年2月13日『サイエンスアラート』
「新しい研究は、いかにコロナウイルスがモノの表面で長生きするかを示した」
New Study Indicates How Long Coronaviruses Can Survive on a Surface

2020年2月6日『ジャーナル・オブ・ホスピタル・インフェクション』
「無生物表面上のコロナウイルスの持続性と殺菌剤によるその不活性化」
Persistence of coronaviruses on inanimate surfaces and its inactivation with biocidal agents
Günter Kamp et al.
Journal of Hospital Infection
Published online:February 06, 2020

以下、引用。

ヒトコロナウイルスはガラスやプラスティックのような表面では9日間、生存する。しかし、62-71パーセントのエタノールで非活性化される。

0.5%の過酸化水素(オキシドール)、または0.1%次亜塩素酸ナトリウム(ミルトンやハイターなど)は1分以内に非活性化する。

他の殺菌剤、例えば0.05-0.2%の塩化ベンザルコニウム(逆性石鹸・オスバンなど)や0.02%のグルコン酸クロルヘキシジンはあまり効果がなかった。

衛生学は明治維新以降にドイツ医学から入ってきたドイツ語の「ハイジーネ」、英語の「ハイジーン」の翻訳です。ドアノブやエレベーターのボタンなどは気になりますが、スマートフォンの液晶画面はどうやって消毒するのが良いのか、携帯電話メーカーはガイドラインを出して欲しいです。また、中国の武漢では街路に白い煙を噴霧していましたが、アレは何なのでしょうか。

公衆衛生学は戦後に英語の「パブリック・ヘルス」から翻訳されました。英語圏では公衆衛生大学院で公衆衛生学修士を取得します。パブリックヘルスという学問を学ぶのは、日本では医師や医療系資格のみですが、日本以外の世界では医師だけでなく法学部出身者や経済学部出身者や、途上国の保健省の職員やNGOの職員です。

パブリック・ヘルスという学問は、みんなの知恵を出し合って、現実にある問題を解決していこうという学際分野になっています。卒業生は医学博士ではなく、公衆衛生学修士を取得します。学位取得者は卒業後にWHOや各国政府やNGOで働きながら調査研究やディスカッションによる政策形成に関わることになります。つまり、大学院のレクチャーではプレゼンテーションやディスカッションは卒業後に仕事でやることをそのまま予行演習でやります。さまざまな分野の専門家と議論しながらリサーチを発表し、議論して合意を形成していく練習をします。

ジョン・ホプキンズ大学の公衆衛生大学院はオープンコースがあり、インターネット上で無料で英語の講義資料が公開されていたので読んでみたら、「バングラディシュのプライマリ・ヘルスケアのケーススタディ」「アフガニスタンの女性のエンパワーメント」など、世界の疫病、貧困、女性の健康(リプロダクティブ・ヘルス)、HIV、性暴力、ドメスティック・バイオレンスなどの厳しい現実をテーマに教授と学生がプレゼンテーションとディスカッションを繰り返す方式なのです。これは、日本の医療系専門学校の公衆衛生学と似ても似つかぬ内容です。

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