【新型コロナウイルス】薛伯寿先生による清肺敗毒湯の解説

2020年2月19日『国家中医薬管理局』
「清肺排毒湯はなぜ速効性があり効果的なのか。国医大師の薛伯寿が解説する」
清肺排毒汤为什么快速有效?来听听国医大师薛伯寿解方!

これを読み逃すのは、中国伝統医学を学ぶ人間としてあまりに惜しいです。清肺排毒湯は701例の新型コロナウイルス肺炎の確定診断症例に用いられて、130例が治癒退院し、51例の症状が消失し、268例の症状が改善しているそうです。

国医大師の薛伯寿(せつはくじゅ)先生は江蘇省出身で、名著『中医症候鑑別診断学』の編者です。1963年から1975年にかけて蒲輔周先生に直接学んだ弟子であり『蒲輔周医案』の編者でもあります。

蒲輔周先生は1888年、四川省の医師の家に生まれ、15歳の頃から医術を学び、 1945年に四川省で麻疹が大流行した際に治療で活躍し、さらに1956年に石家庄で日本脳炎が大流行した際に郭可明先生と共に温病の「暑温」と弁証して、白虎湯と清瘟敗毒飲を用いて多くを治療して政府の信頼を得ました。1956年に中医研究院を北京に設立した際に、呼ばれて北京で臨床と教育を行いました。

以下、引用。

王永炎院士は伝染性新型コロナウイルス肺炎は寒湿疫としており、麻黄附子細辛湯に桂枝を加えて芍薬を去る処方を提唱している。 仝小林院士は武漢の最前線に滞在し、テレビインタビューでは新型コロナウイルス肺炎を寒湿疫と分析している。

私は王永炎院士に同意する。傷寒論は寒湿疫の激しいものを治療することを主題としている。私は寒湿疫とみなせば必ず麻黄をよく用いる。麻黄は宣肺透邪し、表閉を開き、肺閉を開き、肺の間質の鬱飲を消散させ、麻黄は宣肺の要薬であり、麻黄は利小便する去湿の聖薬であり、麻黄は寒凝血脈瘀滞を宣通させる聖薬であり、それゆえに寒湿疫なら必ず麻黄を用いるのである。歴代医学経験の積み重ねによれば、先師である蒲輔周先生は傷寒・温病・瘟疫の学術経験に通じて傷寒論の六経弁証と融合して運用した。柴胡桂枝湯は小柴胡湯と桂枝湯の合方である。私は完全に王永炎院士が麻黄附子細辛湯合桂枝去芍薬で重症を治療するのに合意するものである。

新型コロナウイルス肺炎を清肺敗毒湯で治療する。張仲景の経方と新運用の融合である。この処方は麻黄湯と五苓散を巧妙に組み合わせている。寒閉を去り、利小便して去湿する。五苓散は麻黄桂枝の発汗を抑え、桂枝甘草の辛甘は化陽扶正する。苓姜朮甘は健脾化飲する。新型コロナウイルス肺炎は胸閉し呼吸困難となるが肺閉不宣であり、さらに喘咳が重なるなら射干麻黄湯および橘皮枳実生姜湯、小柴胡湯は少陽病で半表半裏のものの、三焦を通利することで邪気が裏に入るのを予防する。また、肝を調え、脾胃を和し、消化機能を保護する。 藿香は芳香化湿し、石膏は鬱熱の化熱に用いる。

師にあたる 蒲輔周先生は傷寒・温病の専門家であり、季節の気象変化から弁証論治をおこなったことで有名です。1945年に四川省で麻疹が流行した際も、大雨が続いたあと湿化熱して起こったと弁証し、通陽利湿法で麻疹を治療しました。麻黄湯は『傷寒論』の太陽病の太陽傷寒の方剤であり、五苓散は『傷寒論』の太陽病、太陽蓄水の方剤です。麻黄附子細辛湯は少陰病の方剤です。『傷寒論』と温病学を学ぶのに今ほど勉強になる時期はないと感じました。

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