新型コロナウイルスPCR核酸検査の陽性率は30ー50%

2020年2月22日BioRexiv
「56°Cを超える温度で核酸を単離する前にコロナウイルスを不活性化すると、ゲノムの完全性が著しく損なわれる」
Inactivating porcine coronavirus before nuclei acid isolation with the temperature higher than 56 °C damages its genome integrity seriously
Qinxin Zhang, Qingshun Zhao
doi: https://doi.org/10.1101/2020.02.20.958785

以下、引用。

2019新型コロナウイルス(COVID-19)の核酸検出は臨床における診断のカギの一つであるが、陽性率は30-50%に過ぎない。

現在、新型コロナウイルスにおける大きな問題点は確定診断に使われるPCR核酸検査ですが、 陽性率は30-50パーセントだそうです。

臨床検査における感度と特異度は臨床医学における超重要な問題であり、現実の臨床的問題として理解する必要がありますが、少なくない厚生労働省の官僚や医師、医療従事者が理解できていない印象があります。科学哲学におけるベイジアン更新、ベイジアン推定、ベイジアン確率を理解する良い機会です。

2020年2月19日『トゥワード・データ・サイエンス』
『ベイジアンルール、意思決定と信頼できないテストによる COVID-19 の封じ込め』
Bayes’ Rule, Decision Making, And Containing COVID-19 With Unreliable Diagnostic Tests

以下、引用。

【信頼できる臨床試験がない状態での意思決定】

多くのインフルエンザテストの特異度は90-95%であり、これに沿ってCOVID-19の検査の特異度を90%と想定する。

COVID-19検査の感度を40%と想定する。これは報告されているCOVID-19コロナウイルステストの感度に近似している。

患者が最近アウトブレイクしたエリア(武漢など)に住んでおり、病院でコロナウイルスの臨床症状を示している場合、医師がコロナウイルス感染を50パーセントの確率で疑っているとする。そして信頼できないテスト(PCR核酸検査)をオーダーする。PCR核酸検査の結果が陽性なら感染の可能性は80パーセント、結果が陰性なら感染の可能性は40パーセントになる。

感染の可能性が40パーセントというのはあまりに高すぎる。ウイルスの封じ込めと致死性からいって患者を解放して帰すのは受け入れられないリスクがある。

(PCR核酸検査が)信頼できるテストであるなら、検査結果が陰性なら50パーセントの感染確率が2パーセントにまで減少する。 COVID-19の可能性は除外でき、2パーセントは受け入れ可能なリスクとなる。

信頼できないテストを使うなら、患者の感染可能性は陽性だろうが陰性だろうが許容できるレベルにまで減少するわけがない。感染の可能性が5パーセント以下なら、医師は感染していないと確信するだろう。

患者が COVID-19 に50パーセントの確率で感染しているかもしれないと医師が疑う時、医師は40パーセントの感度と90パーセントの特異度の臨床検査であると理解しながら臨床検査をオーダーする。

すべての連続した診断結果が陰性だったとして、最初は50パーセントだった感染の確率は毎回、次のように落ちる。50%→40%→30.8%→22.9%→16.5%→11.6%→8.0%→5.5%→3.7%

8回の連続したPCR検査での連続のネガティブ陰性の結果で、医師ははじめて「コロナウイルスに感染していない(感染確率5パーセント以下)」と確信できる。これは実行可能なソリューションだろうか。いずれにせよ、低い感度の診断テスト(PCR核酸検査)がCOVID-19アウトブレイクの主要な問題であることは明らかである。

インフルエンザ迅速診断キットでも全く同じことが言えます。

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