肩関節周囲炎:ドクター・タンの平衡鍼

台湾の故ドクター・タンことリチャード・タン先生による「譚氏天應穴平衡針法」「ドクター・タンの鍼」は最近、英語圏やスペイン語圏の鍼灸でよく目につきます。私も2019年1月にセミナーに参加された鍼灸師の先生から教えていただいてから初めて知りました。

このyoutube動画では右の手陽明大腸経の肩から上腕痛を、左の足陽明胃経の足三里、上巨虚、下巨虚、解渓の刺鍼で治療されています。まだ譚特夫先生の文献を読んでいる最中なので分析しきれていないのですが、左右上下の交叉取穴で、同名経だけでなく表裏経、子午関係を駆使しており、故・柯尚志先生の「遠絡療法(远络疗法、远络医学、遠絡醫學、遠道相應穴位經絡療法、Enrac therapy、Collateral Meridian Therapy)」に酷似しています。時系列的には遠絡療法よりも譚氏天應穴平衡針法のほうが早く発表されています。

しかも、ややこしいのは譚特夫先生の文献で台湾の董氏奇穴を紹介したものがあり、譚特夫先生は董氏奇穴の影響を受け、それをアメリカに紹介したようなのです。譚特夫先生の鍼を‘Tan’s acupuncture’と呼び、董氏奇穴を‘Tung’s acupuncture’と英語圏では読んでいるため、最初、私は混同して勘違いしていました。

台湾の董景昌先生は「菫氏鍼灸正経奇穴学」を1973年8月に出版されました。董先生の直弟子の巴頓が英語圏世界に董氏奇穴を紹介しました。

1988年1月にPalden Carson(直弟子Dachen Paldenとの関係不明)が董氏奇穴を
‘Tung’s orthodox acupuncture’として最初の英語圏の文献として翻訳出版しています。

1989年にエンジニアだった台湾出身の譚特夫先生はカリフォルニア州で鍼灸師免許を取りました。

1998年、吉川正子先生が世界鍼灸学会(WFAS)にて「陰陽太極鍼」を発表されます。王文遠先生の秘密の「王穴」にインスパイアされて作られたのが陰陽太極鍼ですが、王穴は董氏奇穴の「腎関(天皇副穴)」でした。

2002年に台湾出身の故・柯尚志先生が「遠絡療法」を発表されました。平衡鍼の歴史は、まだ解明されていないことが多過ぎます。

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