【新型コロナウイルス】武漢の携帯電話アプリによる中医学遠隔診療システム

2020年3月4日『中国中医薬網』
「仝小林院士:武漢市の武昌モデルは地域社会による疫病予防の新思考を提供する」
院士仝小林:“武昌模式”为社区中医药防控疫情提供新思路


SARSの中医薬治療で有名であり、武漢で中医学チームの指揮をとられている仝小林先生の記事です。仝小林先生は漢方のみでSARSを完治させたという伝説的人物であり、 その後も後遺症に苦しむSARS患者を治療し続けたことは『中医臨床』でも記事になっています。

以下、引用。

仝小林は新型コロナウイルスを発病した初期の患者の大多数は舌苔が白厚腐膩苔であり、倦怠感があることから、武漢の湿冷の気候とあわさって新型コロナウイルス肺炎を寒湿疫として論じた。

仝小林は武漢の専門家と十分に討論したあとで、宣肺透邪、避穢化濁、健脾除湿、解毒通絡の処方として武漢抗疫方を作り、2月3日から武漢市の武昌地区で無料で配った。

仝小林の武漢抗疫方を江蘇康縁製薬企業は無料で14日分の中医薬漢方顆粒製剤4万人2,000人分を4つの加減方として配布した。

同時に、仝小林チームと中医科学院の主席研究員である劉保延は協力して緊急に携帯電話アプリをリリースした。患者は漢方のパッケージにあるQRコードを読み取ると医師と一対一で服薬指導を携帯電話アプリを通して受けることができる。

(武漢の問題点は)第1に医療資源が枯渇した状態であり、第2に大量の「疑い症例」があり、確定診断症例の病人でも医療を受けることができなかったことである。

「(漢方の)武漢モデル」は政府のイニシアティブと中医学専門家の実力とインターネット情報ブラットフォームの確立、後方の中医薬企業や専門家による後方支援と切り離せず、この種の防疫のモデルとして重大な公衆衛生事件のときに規範を示すことができた。

新型コロナウイルス肺炎の患者の初期症状は発熱、倦怠感、咳、痰、浅い呼吸、下痢などであり、漢方治療は初期のうちに症状をつみとり、武漢モデルが示しているところでは数万人の患者の症状が改善されたと仝小林は強調する。

新型コロナウイルス肺炎の患者は、退院後も軽い咳、発汗、倦怠感、活動後の呼吸困難があり、再度、発熱する患者もいる。仝小林とチームは中医薬漢方により回復期の患者が肺の機能損傷を修復して回復することに着手している。

武漢市でのCOVID-19のアウトブレイクは武漢の医療システム崩壊を招きました。中医学チームを指揮した仝小林先生は、おおまかに寒湿疫と分析し武漢抗疫方という顆粒エキス剤を中医薬企業の助けを借りて大量に配布します。

次に携帯電話アプリを開発して、一人一人の患者を遠隔診療して服薬指導することで感染のリスクを減らし、医師を院内感染から守ります。

仝小林先生の分析どおり、 COVID-19の問題点は疑い症例や軽症患者のケアにあります。武漢では中医薬(漢方)が これらのケアにあたり、遠隔診断システムと顆粒エキス剤を用いることで医療資源への負担を劇的に軽減しました。中医薬(漢方)が「無症状」「疑い例」「軽症」とリハビリを担当することで西洋医学は重症者の救命に集中し、武漢の医療システムを建て直す時間をかせぐ発想です。一人一人の舌診・脈診による弁証論治と煎じ薬の微妙な加減という老中医スタイルとは全く違うIT時代の新しい中医学です。 これは軍事的な兵站からの発想です。

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