コロナウイルス対策はグローバル食料不足を引き起こす

2020年3月26日『ガーディアン』
「コロナウイルス対策はグローバル食料不足を引き起こすと国連は警告している」
Coronavirus measures could cause global food shortage, UN warns

これはデマやフェイクニュースではなく、情報ソースはイギリスの新聞『ガーディアン』と国連および国際連合食糧農業機関(FAO)です。

以下、引用。

「国家によるコロナウイルスに対する保護貿易主義的対策は世界の食料不足をひきおこす」と国連の食料担当者が警告している。

「収穫量は良好で穀物は見かけは堅調であるが、農場労働者の不足と保護主義貿易・貿易禁止は数週間で問題を顕著にさせる」とマキシモ・トレロ、国際連合食料農業機関のチーフ・エコノミストはガーディアンに語った。

「最悪なのは政府が食料の流れを制限していることだ。すべての自由貿易に反する対策が非生産的である。いまは貿易制限や貿易障壁を設けるべきときではない。いまこそ世界中で食料の流通を守るべき時だ」と彼は言う。

「コロナウイルスは労働力とロジスティクス物流問題に影響していることがとても重要だ」とトレロは言う。「われわれは農場労働者が働き続けられるような政策を必要としている。主要な国家はまだこの種のたぐいの食料流通をうながす政策を採用していない」

食糧は世界中であり余るほど生産されています。問題は農場での季節労働者や外国人労働者の移動を保証することや物流サプライ・チェーンの維持なのです。国境封鎖や都市封鎖政策、渡航禁止、貿易禁止などの政策を立案する際に医療専門家の意見を聞いたかも知れませんが、食糧安全保障専門家や流通専門家、外国人労働問題専門家の意見は聞いていないようです。

公衆衛生政策作成の際に、医療のことしか知らない医療専門家だけでなく、複数の専門家の意見を聞くエビデンス統合、エビデンスに基づく政策作成 が必要でした。

ジョンホプキンス大学とビルゲイツ財団がおこなった公衆衛生学の演習シミュレーション、イベント201の予測通り各国政府と医療関係者はパニック状態に陥り、渡航禁止と貿易禁止、国境封鎖、社会的距離政策をおこない、株式市場の暴落と世界金融危機をまねき、経済と社会を破壊しています。さらに医療関係者がSNSで感情的な言説や動画を拡散させており、 医療専門家という権威から発信される情報と感情的な情報による同調圧力により、社会的距離政策の採用の勢いは止まることは考えられないと思われます。

そもそも隔離政策、検疫政策は効果があったのでしょうか。新型コロナウイルスは世界中に拡散し、世界中のほとんどの国で確認されました。いわゆる水際対策はどこも、数日から数週間程度、感染スピードを遅らせた効果しかなかったようです。

早期にエアロゾル感染やインフルエンザ並みの感染力がある可能性を指摘したウイルス学者は「風を国境で止めるのは不可能だ。普通のインフルエンザや風邪だって無理なのだから」と正直に言っていました。しかも、新型コロナウイルスは40%に発熱がなく、無症状でウイルスを感染させ、潜伏期間として20日以上、ウイルスをもっている例がすでに確認されています。

14日間の隔離政策や検疫政策で止めるのは論理的に難しいと思います。病院内の医療プロフェッショナルが多数、院内感染している感染症を検疫政策で止められるとは思えません。高齢者を隔離したり、病弱な児童を家族ごと隔離する政策のほうが相対的にマシな感じはしますが。

30日間の隔離政策をとった北朝鮮は公式には「感染者はいない」そうですが、事実上の鎖国をして、しかも外国人に30日間の隔離政策をとっていた北朝鮮で新型コロナウイルスのアウトブレイクが起こるなら、検疫政策の有効性は明らかです。

2020年3月30日『東亜日報』
「中朝国境で北朝鮮軍100人以上がコロナ疑いで死亡か」

武漢の都市封鎖は4月8日に解除されましたが、すでに武漢以外の中国では外国からの感染逆流入がはじまっています。 おそらく感染の第2の波が起こりますが、これが正確に報道されるかどうかは疑問です。

2020年3月20日『朝日新聞』
「中国で新型コロナの「逆輸入」が急増、感染拡大の第2波を懸念」
http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKBN2180B8.html

日本では全国一斉休校期間中に富裕層の子弟が海外旅行に行き、休校解除後にヨーロッパなどから帰国して国内に感染を広めている事例を多く確認できます。2020年2月27日から日本で採用された全国一斉の学校閉鎖はエビデンスがなく、結果としては「危機感を高める」効果を獲得する以外の成果はなかったようです。

都市封鎖(ロックダウン)に関しては、武漢では都市封鎖直前に500万人が脱出して北京など中国各都市に流行を拡散しました。イタリアではミラノやロンバルディアから都市封鎖直前に脱出した若者たちがイタリア全土に流行を拡散しました。タイでもバンコクの都市封鎖寸前に地方からの出稼ぎ労働者が脱出し、地方に流行を拡散していっています。

社会的距離政策に実効性があるかどうかは、それを採用した国家や都市が「医療崩壊せずにICUや病院の医療従事者を守れたか」という結果でしか評価できないと思います。武漢やイタリアではロックダウン直後に医療崩壊が起こりました。ニューヨークは3月22日から外出制限がかかると医療崩壊の兆候がではじめました。東京では都知事のロックダウン予告の直後にスーパーの食料品買い占めが起こりました。

2020年3月30日『日経アジアンレビュー』
『インドの突然の封鎖により食品と医薬品の奪取』
India’s abrupt lockdown sparks scramble for food and medicine

2020年3月29日『日刊スポーツ』
『イタリア死者1万人超え、食料品の略奪騒ぎ警察出動』

社会的距離政策を採用する際には同調圧力に流されることなく、複数の多分野の専門家の視点からエビデンス統合をしないなら、社会経済的大惨事が起こる可能性があります。

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