スウェーデンの新型コロナウイルスに対するアプローチ:ロックダウンなし、隔離検疫なし、自発的アドバイスのみ

2020年3月26日『ユーロニュース』
「隣人であるデンマークとスウェーデンは国境を接しているがコロナウイルス封じ込め対策ではかけ離れている」
Neighbours Denmark and Sweden miles apart on coronavirus confinement

以下、引用。

デンマークとスウェーデンはオーレスンド・リング海底トンネルでつながり、その富や高福祉、高い税金などで同じところにあり、異なる部分はわずかである。しかし、コロナウイルス・クライシスに対してはまったく異なる軌跡を描いている。

3月13日からデンマーク社会民主主義政権は公共部門のシャットダウンをアナウンスして10人以上の公的集まりを禁止し、カフェやレストラン営業を禁止した。

しかし、スウェーデンではステファン・ローヴェン首相とスウェーデン公衆衛生局はアグレッシブな法律を維持している。政府は500人以下の集会を許可し、バーはより厳しい消毒ルールのもと営業し、大学生は帰省したが子どもたちの学校は開いている。

スウェーデンの戦略は、高齢者のようなリスク・グループの社会的距離に集中している。「われわれはエビデンスに基づく対策を行っている」とカロリンスカ研究所の疫学医師であるエンマ・フランは述べる。

カロリンスカ研究所は世界の医大ランキング・トップ10に入り、ノーベル賞を多数輩出している超一流医大です。スウェーデンのアプローチは、カロリンスカ研究所によれば「エビデンスに基づく対策」です。わたしが個人的にエビデンスに基づく政策決定と考えている内容と一致します。

以下、引用。

「このロジックによれば、学校を閉鎖する理由はない」とエンマ・フラン医師は述べる。研究では、子どもたちはインフルエンザは急速に広げるが、COVID19は異なる。(休校すれば)子どもたちは家で彼らの祖父母のような脆弱な人々に不必要な接触をする。

デンマークでは「あまりに行き過ぎた」隔離処置をとっている。シャットダウンから1カ月もたたないうちにその副作用があらわれている。4万2千847人のデンマーク人が3月9日から3月24日の間に失業者となった。

経済学者ラース・クリステンセンはロックダウンに対して否定的ではないが、重要なことを見逃していると考えている。「失業率の増加と競売の観点から経済的影響は非常に明白である。だから、私は政府が入院の予想数に関する予測と同じくらい、失業率をロックダウン政策と結びつけて欲しい。数値が上がれば措置を緩和し、経済をより早く軌道に戻すことができる」と彼は述べる。

スウェーデンの経済学者が述べている「ロックダウン政策ではICU入院者数と同じように失業率も考慮すべき」という意見はエビデンス統合そのものであり、常識的な当たり前の意見です。

ICUで大量死が起こることに医療関係者がパニックになって感情的になることも理解はできますが、失業・飢餓・暴動などの社会経済的混乱による死も同じくらい悲惨だと思います。むしろ、医療従事者の方々が冷静さを失って感情的になっていることが理解しがたいです。

以下、引用。

しかしながら、問題は危機の期間を予測できないことである。「世界をロックダウンし続けることなんてできない。ワクチンが開発されるまで18カ月はかかるのだから。われわれは日常に適応しようとしている。スウェーデンの計画は長期間実行できる対策を実装している」とフランは述べる。

これが常識的な見解だと思います。どんな時でもオルタナティブな方法を見つけるべきです。
「唯一の正解」ほどリスキーなものはないです。

2020年3月27日『ウォ―ルストリートジャーナル』
「スウェーデンの極端に異なるコロナウイルス対策の内側」
Inside Sweden’s Radically Different Approach to the Coronavirus
「ロックダウンなし、隔離検疫なし、自発的アドバイスのみと希望の量は多い」
No lockdown, no quarantines, just voluntary advice and a big dose of hope

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