温熱療法・TENS・牽引・コルセットなど腰痛への理学療法

NEWSポストセブン
『温熱、電気神経刺激、牽引などの腰痛治療法 有効性に疑問も』
2014.06.03

以下、引用。

腰痛には医療機関で温熱療法や電気神経刺激療法、牽引療法などを受けることも多い。ところが、研究論文の蓄積をもとにまとめられた日本整形外科学会・日本腰痛学界が発表した最新の『腰痛診療ガイドライン』(2012年11月)では「エビデンスが不足している」などと指摘されている。

例えば患部を温める温熱療法は、急性の腰痛患者に対しては一部で有効性が見られるものの慢性腰痛に対しては「質の高いエビデンスは存在しない」という。温湿布などについても同じだ。

脊髄を通る神経に微弱な電気を流す電気神経刺激療法(TENS)は海外で複数の研究が行なわれたが結論が分かれている。

「腰痛治療を専門とする医療機関でよく見かける牽引器具は、使った患者と使わなかった患者で痛みの緩和や可動域の拡大に有意な差は認められていません。硬い背骨に牽引したぐらいで変化が起きるとは考えにくい。アメリカの治療ガイドラインでは「牽引は効果がないばかりか害があるので止めたほうがいい」とまで指摘されているので注意が必要です」。(白土修・福島県立医科大学会津医療センター教授)

腰椎コルセットについても身体動作は改善されるが痛みの改善に効果があるというエビデンスはない。

【腰痛への温熱療法・ヒートパックのエビデンス】

2006年コクラン・システマティックレビュー
「腰痛への表面の温熱療法または寒冷療法」
Superficial heat or cold for low back pain.
French SD,et al.
Cochrane Database Syst Rev. 2006 Jan 25;(1):CD004750.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16437495
http://www.cochrane.org/…/yao_tong_nidui_suruqian_bu_nowen_…

【著者の結論】
慢性腰痛への表面の温熱療法・寒冷療法の一般的なプラクティスは限定的であり、より良質のランダム化比較試験が求められている。小規模の臨床試験では、急性腰痛または亜急性腰痛への短期的な痛みと不安定性への効果があるという中程度のエビデンスはある。

【腰痛へのTENS(経皮的神経刺激療法)のエビデンス】

2008年コクラン・システマティックレビュー
「慢性腰痛への経皮的電気神経刺激療法(TENS)とプラセボの比較」
Transcutaneous electrical nerve stimulation (TENS) versus placebo for chronic low-back pain.
Khadilkar A,et al.
Cochrane Database Syst Rev. 2008 Oct 8;(4):CD003008.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18843638
http://www.cochrane.org/…/man_xing_yao_tong_zheng_nidui_sur…

【著者の結論】
現時点では、小規模のプラセボ対照臨床試験からのエビデンスはTENSを慢性腰痛のルーティンなマネジメントとして用いることを支持していない。

【腰痛への牽引療法】

2013年コクラン・システマティックレビュー
「座骨神経痛を伴う場合と伴わない場合の、腰痛への、牽引療法」
Traction for low-back pain with or without sciatica.
Wegner I,et al.
Cochrane Database Syst Rev. 2013 Aug 19;(8):
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23959683

【著者の結論】
これらの発見から、牽引は単独でも、他の治療法との組み合わせでも、慢性腰痛の患者さんの痛みの強さや機能的状況、全体的な改善や仕事の復帰について全く効果が見られない。

【腰痛への腰椎サポーター・腰痛バンドの効果】

2008年コクラン・システマティックレビュー
「腰痛への腰痛サポーターによる予防と治療」
Lumbar supports for prevention and treatment of low back pain.
van Duijvenbode IC et al.
Cochrane Database Syst Rev. 2008 Apr 16;(2):
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18425875
http://www.cochrane.org/…/yao_tong_noyu_fang_oyobizhi_liao_…

【著者の結論】
腰椎サポーターが無治療または腰痛予防トレーニングと比較してまったく効果がないという中程度の証拠はある。

腰痛で整形外科を受診した場合、一般的な治療である牽引、腰痛バンド、皮膚への電気、表面温熱療法はいずれもエビデンスは無いです。かろうじてホット・パックなどの表面温熱療法に限定的で短期的な効果があるだけです。

腰痛への理学療法でエビデンスがあるのは運動とマッサージぐらいです。しかし、理学療法士さんとお話したら、現在、理学療法士の学校ではマッサージは3年間で1時間ぐらいしかやらないそうです。腰痛患者さんは鍼やマッサージやカイロプラクティックが無いと、かなりツライ状況だと感じました。

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