糖尿病性網膜症の鍼灸

2013年「糖尿病の眼底出血の45症例に対する鍼治療」
Acupuncture treatment of 45 cases of diabetes eyeground bleeding.
Su QD, et al.
Zhongguo Zhen Jiu. 2013 May;33(5):394.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23885608


针刺治疗糖尿病眼底出血45例
苏全德 武华清 杨玉平 刘国真
《中国针灸》 2013年05期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTotal-ZGZE201305004.htm

私には「中医学古典理論の糖尿病=消渇という理論は現実とまったく適合していないし、鍼灸の臨床の現実と合っていない」と力説していた時代があります…。『金匱要略』などの中医学古典では消渇を上消、中消、下消に分類する三消理論があります。上消の肺熱では口渇多飲し、中消の胃熱ではいくら食べてもお腹が減る消穀善飢となり、下消の腎熱では頻尿となります。

しかし、現実の糖尿病患者は三大合併症である糖尿病性ニューロパシー、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症が問題になります。現代の中国伝統医学でも、糖尿病と消渇は違うと見なされつつあります。

2008年「中国の糖尿病に関する中国医学研究の現状と未来」
仝 小林 (中国中医科学院広安門医院副院長)
http://www.spc.jst.go.jp/report/200810/toku_tong.html

以下、引用。

現在の糖尿病は昔の消渇という語で概括しているものとは違うし、多くの医師が現代の2型糖尿病は古代の消渇と完全に同等ではなく、陰虚燥熱理論で現代の2型糖尿病を総括するのは偏っているようだ。そこで消渇≠糖尿病であることを提起し、消渇、消渇病と糖尿病の病名の範疇に境界を定めた。

伝統的な陰虚燥熱理論、およびそれに関連する三消理論はもはや現代の糖尿病には完全に適用されなくなっている。

オ血からの治療:唐容川がかつてオ血致渇を提起したが、現代の医師はオ血致病理論と血流変学、毛細血管学理論を関連付けてオ血内生が糖尿病の重要な病機であることを肯定し、ここに毛細血管性血管腫学説などオ血致病理論が基本的に提起された。

3.絡病理論の形成および発展
実験研究が糖尿病初期の血管合併症がまだはっきりとは現れない段階では、活血通絡(血流をよくして、出血などを早く吸収して体外に排出するこ と)にすることで、腎臓および網膜の病変の発生、進行を明らかに遅らせることができることを示している。そこで、絡の早期治療、全程通絡(経絡の気の流れ全体をよくすること)を基本思想とする絡病理論が次第に形成され、完成に向かって絶えず発展してきた。絡病理論の重要性に基づいて、糖尿病は糖絡病と改称されるかもしれない。

持論ですが、「糖尿病イコール消渇」の糖尿病の上消・中消・下消の三消理論は現実にまったく合いません。絡病から考えて、オ血として分析しなおすべきだと思います。絡病オ血という分析なら、糖尿病患者の三大合併症を説明しやすくなると思います。

「浅谈糖尿病视网膜病变中瘀血病理机制初探」
李清波
『陕西中医杂志』 2003年10月24卷10期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-SXZY200310077.htm
http://journal.9med.net/upload/pdf/28/1015/53962_4989.pdf

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