腰痛と小殿筋

上図はThe Trigger Point & Referred Pain Guideより引用した小殿筋のトリガーポイント関連痛の図です。これは腰下肢痛の治療で最も重要な筋肉の一つです。

特に上前腸骨棘と大転子の中点にある足少陽胆経の居髎あたりにトリガーポイントが形成されるとリンク先の左から1枚目の図のような胆経に沿った関連痛が出るので、居髎症候群と勝手に命名しています。居髎穴の穴下には浅い層に大腿筋膜張筋、深層に小殿筋があり、触診にコツが必要です。

小殿筋後部にトリガーポイントができると膀胱経に沿って座骨神経痛そっくりの痛みが出ます。だから広く深い触診が必要になります。 この小殿筋トリガーポイント関連痛を西洋医学では1982年にアメリカのシェオン医師が「偽座骨神経痛」と名付けています(※1)


※1「軟部組織のリウマチ様の痛み」
Soft tissue rheumatic pain.
Sheon RP
Comprehensive Therapy [1982, 8(4):19-27]
http://europepmc.org/abstract/MED/6979457

私見ですが、座骨神経痛様症状の際には上前腸骨棘から大転子の間を深く触診すべきですし、それには患者さんの姿位を側臥位または仰臥位にすべきです。伏臥位で小殿筋の触診は不可能に近いですし、鍼の角度も撚鍼法ならともかく伏臥位の管鍼法で深層の小殿筋トリガーポイントは刺せません。

中国では鍼よりも小針刀で小殿筋のトリガーポイント関連痛を治療しているようです。

2017年「針刀治療による小殿筋の筋膜疼痛症候群(MPS)の解剖経路と理論の探求」
针刀治疗臀小肌筋膜疼痛症的解剖入路与理论探究
刘美锭 李开平 李殿宁
《中国医药导报》 2017年33期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-YYCY201733041.htm

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