腰痛と心因性腰痛

「急性期を過ぎた腰痛の鍼灸治療  第5回 背部から腰部にかけての痛みの治療」
佐藤正人『医道の日本』 76(11): 146-153, 2017

心因性腰痛の部分が参考になりました。

以下、引用。

精神面に対する治療としては督脈上の経穴がよく用いられており、神堂(BL44)への灸、百会(GV20)のへの灸、身柱(GV12)から筋縮(GV8)への灸などがある。また、頭部の承霊(GB18)を腰痛治療に追加することで腰痛の治療効果が上がったと報告している例もある。(p149)

筆者の経験からも、心身が過度に疲労した患者や自律神経症状が強く出ている患者の場合は往々にして深い治療刺激が悪化の原因になるようなことがある。(p150)

今回の結果からすると、腰痛の中でも腰背部痛は精神障害と結びつきやすい症状である。(p151)

いずれにしても、精神面に問題がある患者との対応では痛みの原因を器質的原因に帰そうとする患者との食い違いが往々にしてある。患者のなかには意識のうえでは治療をもとめながら無意識に治療を失敗させて患者を打ち負かしてやろうと考えているような患者さえいるように思われる。(p151)

今回の場合、精神面に影響を与える経穴として督脈経の諸穴が多く用いられていた。(p151)

(代田文誌は)神経衰弱または神経興奮による脊椎上の圧痛は多くが第1椎から第9椎までの間に現れやすいこと、百会は神経症や神経衰弱に著効があり、督脈の諸穴は脳脊髄神経系統の病気に特に有効であることも述べている。(p152)

佐藤正人先生の連載は勉強になりますが、本当にこの回は味わい深いです。

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