拡張期血圧への鍼の効果

 
2020年7月28日『メディカルニューストゥデイ』
「拡張期血圧を下げるには何ができるの?」
 
 
以下、引用。
 
9. 鍼を試してください
 
2013年の研究は、薬物療法を既に受けている患者に対して鍼は血圧を下げる助けになることを発見した。著者たちは血圧を調整しようとしている人たちにとって鍼は利益があることを提案している。
 
 
2013年トルコ、アンカラ、カジ大学
「降圧剤を使用している患者の高血圧への鍼の効果」
The effect of acupuncture on high blood pressure of patients using antihypertensive drugs
Cemal Cevik et al.
Acupunct Electrother Res. 2013
 
 
以下、引用。
 
我々は鍼が高血圧ガイドラインに含まれることをデータが強く支持することを結論する。この研究は、24名の男性と10名の女性を含み、太渓(KI3)、太衝(LIV3)、陰稜泉(SP9)、合谷(LI4)、神門(HT7)、足三里(ST36)、三陰交(SP6)、復溜(KI7)を使用した。
 
 
現実には、日本の臨床では高血圧の全ての患者さんが降圧剤を使用しており、薬物療法と鍼の併用の臨床研究の知識は有用と思われます。
 
高血圧への鍼の効果は、カリフォルニア大学アーヴァイン校の有名な鍼灸研究者であるジョン・ロングハースト教授の研究が有名です。この研究の発表直後に急逝されたのが悔やまれます。
 
 
2015年8月19日『サイエンスデイリー』
「高血圧患者は鍼治療をするメリットがあると研究者は発見した」
Hypertensive patients benefit from acupuncture treatments, study finds
 
 
原著論文
「高血圧患者への電気鍼の長期持続的な血圧降下:ランダム化比較試験」
Long-Lasting Reduction of Blood Pressure by Electroacupuncture in Patients with Hypertension: Randomized Controlled Trial.
Peng Li .John C. Longhurst .et al.
Medical Acupuncture
Vol. 27: Issue. 4: Pages. 253-266
 
 
 
以下、『メディカルデイリー』より引用。
 
これは中国伝統医学がマイルドな高血圧の治療として利点があると科学的に確証した最初の研究である。そして定期的な鍼の利用は患者の血圧をコントロールし、心筋梗塞や心臓病のリスクを減らす。
 
「この臨床研究は、この10年間の研究領域におけるベンチマークという以上の最高到達点と言える」とカリフォルニア大学アーヴァイン校の循環器学者でサミュエル統合医療センターの前理事長は言う。「西洋科学を使って古代中国医学を厳密に立証したわれわれは西洋医学と東洋医学を統合し、アメリカにいる何百万人もの治療ガイドラインの利点の提供に影響を与える」
 
ロングハーストとカリフォルニア大学アーヴァイン校のDr.ペン・リーとステファニー・チェンは、薬物療法を受けていない65人の高血圧患者で実験を行った。ランダムに2つのグループに分け、身体の違う場所のツボに低周波通電する電気鍼を受けさせた。33人のグループは左右の手首の内側と膝の少し下に電気鍼を受けた(※大稜ー内関、足三里ー上巨虚)。研究者たちは被験者の70パーセントに顕著な血圧降下を発見した。収縮期血圧て平均6〜8㎜Hg、拡張期血圧で4 mmHgの下降で、この改善は1カ月半持続した。
 
また、このグループでは血管を収縮させ、血圧を上げグルコースレベルを上げるノルエピネフリンの血中濃度は41パーセントとなり、腎臓で産生されて血圧をコントロールするレニンは61パーセントとなり、電気鍼は電解質をコントロールするホルモンのアルドステロンを22パーセントに減少させた。
 
 
 
EurekAlert!” 2016年10月31日
「ナチュラル・オピオイド(脳内麻薬)の活性化によって鍼は高血圧を降圧することをカリフォルニア大学アーヴァイン校は発見した」
UCI study finds acupuncture lowers hypertension by activating natural opioids
 
 
以下、引用。
 
標準的な電気鍼治療が血圧をコントロールしている脳幹のオピオイドの一種の放出を増加させることで血圧を下げると、カリフォルニア大学アーヴァイン校、スーザン・ザミュエリ統合医療センターの研究者たちは発見した。
 
ラットの実験において、同校の循環器研究者、ガオ・シーリンと同僚たちは、電気鍼によって身体の3つの主要な産生されるオピオイドの1つであるエンケファリンの遺伝子発現が増加して血圧が降下することを明らかにした。
 
彼らの研究は『ネーチャー・サイエンティフィック・リポーツ』に発表され、電気鍼が高血圧を降圧するという分子活動の最初のエビデンスを示した。
 
昨年、同校は手首の場所(※内関、足三里)の鍼が血圧を下降させることを報告した。この研究では、繰り返しの電気鍼は高血圧の降圧の結果を持続させ、それは臨床的な高血圧を治療するのに鍼が最適であることを示している。
 
 
 
2016年10月24日『ネーチャー・サイエンティフィック・リポーツ』の原著論文
「延髄吻側腹外側野(RVLM)におけるエンケファリンを通じた寒冷による高血圧は反復する電気鍼によって減弱される」
Repetitive Electroacupuncture Attenuates Cold-Induced Hypertension through Enkephalin in the Rostral Ventral Lateral Medulla
Min Li, Stephanie C. Tjen-A-Looi, Zhi-Ling Guo & John C. Longhurst
Scientific Reports 6, Article number: 35791 (2016)
Published online:24 October 2016
 
 
 
デルタ-オピオイド受容体拮抗薬であるナロキソンを入れることで血圧は逆に上昇しました。
 
以下は原著論文より引用。
 
電気鍼は延髄吻側腹外側野の一部で起こっているデルタ-オピオイド・メカニズムを通じて高血圧を約40%減らすことができる。反復する電気鍼は長期間の反応を惹起し、この鍼治療は臨床的な高血圧の治療に適していることを示唆している。
 
結論として、反復する電気鍼は寒冷刺激によって起こる高血圧を減弱させる。電気鍼によって起こる血圧の低下反応は電気鍼を受けてから最低3日間は持続する。これは電気鍼が延髄吻側腹外側野レベルでのエンケファリン増加を阻害する電気鍼の効果と関連している。この研究によれば、鍼は慢性高血圧症を治療する非薬物的治療オプションとして実行可能である。
 
 
 
 

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