高麗手指鍼:神経過敏

「手指鍼(すじちむ)特別講義4:神経過敏」
http://health.chosun.com/…/ht…/2006/05/01/2006050156006.html

「A30」は奇穴の「印堂」に相当します。
「M2」は足少陽胆経の「頷厭(がんえん:GB4)」に相当します。
「C1」は手太陰肺経の「中府(LU1)」に相当します。
「E22」は足陽明胃経の「天枢(ST25)」に相当します。
「N18」は足厥陰肝経の「期門(LR14)」に相当します。


「神経過敏」は日本語が語源だと思われます。
神経過敏症や神経衰弱症は戦前の日本の精神医学の論文にあります。もともとは1829年にアメリカのジョージ・ミラー・ピアードが「ニューラスシニア」を提唱し、日本語で「神経衰弱」「アメリカ神経過敏」の訳語があてられ、日本の戦前の精神医学では認められた概念です。 森田正馬の森田療法は、まさに神経衰弱のために開発された歴史があります。 中国では現在も「神经衰弱」という病名として残っています。ジョージ・ミラー・ピアードは「エーテル」を信じ、「マッスル・リーディング」を提唱し、スピリチュアリズムの元祖の1人であり、個人的には興味を持っています。

WHOのICDー10国際疾病分類には「神経衰弱」が存在していることを、日本でもプロフェッショナルの精神科医はよく知っています。臨床的に役立つ概念だからです。そういえば、WHOの国際疾病分類ICDー11には韓国伝統医学(韓医学)の李済馬(いじぇま)先生の四象体質が入っていることは全く報道されていません。なぜでしょうか。

四象体質として、以下の英文がWHOの国際疾病分類ICDー11に入っています。

太陽人(てやんいん):肺が強く、肝が弱い。

少陽人そやんいん)」:脾が強く、腎が弱い。

太陰人(てうみん)」:肝が強く、肺が弱い。

少陰人(そうみん):腎が強く、脾が弱い。

2014年には日本の慶応義塾大学で366人の日本人患者を韓国の四象医学研究者が分類した論文もあります。

『慶應義塾大学医学部漢方医学センター外来受診患者を対象とした四象体質による体質分布, 疾病及び症状類型に関する研究』
金 鍾元 et al.
『日本東洋医学雑誌』Vol. 65 (2014) No. 4 p. 251-267
https://www.jstage.jst.go.jp/artic…/kampomed/…/4/65_251/_pdf

韓国では太陰人が47%と最も多いです。アメリカでは少陽人が最も多く、太陽人も次に多かったです。モンゴルでは太陰人が最も多かったです。日本のこの慶応大学の調査では、少陰人が43.2%と最も多かったです。日本人に少陰人が多いというのは、けっこう納得です。

下記の論文はオープンアクセスで分かりやすかったです。

「東洋医学の体質分類の思想である四象医学について」
具 然和
純真学園大学雑誌 5, 103-108, 2015
https://ci.nii.ac.jp/naid/40020905484
(全文オープンアクセス)

東洋医学の分野で「体質」論は重要だと思います。『黄帝内経』には、体質論として、
『霊枢・通天篇第72』の太陽・少陽・太陰・少陰・陰陽和平の人という分類、
http://zhongyibaodian.com/huangdilingshu/101-3-72.html

あるいは『霊枢・陰陽二十五人論篇第64』の木形の人、火形の人、土形の人、金形の人、水形の人という分類、
http://zhongyibaodian.com/huangdilingshu/101-3-64.html

あるいは『霊枢・衛気失常篇第59』の肥痩の分類などがあります。
http://zhongyibaodian.com/huangdilingshu/101-3-59.html

これらの議論は、梁哲周先生の素晴らしい論文でまとめられています。

『黄帝内経における性格類型の今日的意義』
石川 利博, 金 兌勝, 梁 哲周
『日本東洋医学会雑誌』2011 年 62 巻 6 号 p. 750-759
https://www.jstage.jst.go.jp/…/62/6/62_6_…/_article/-char/ja

現代中国では、北京中医薬大学の王琦先生は中医体質学の専門家です。『中医体質学入門』はたにぐち書店から邦訳が出版されています。

中医体質学入門
王琦,盛増秀著 ; 鎌江真伍訳
谷口書店, 1988.9

王琦先生は、
「正常体質(A型)」、
「気虚型(B型)」、
「陽虚型(C型)」、
「陰虚型(D型)」、
「痰湿型(E型)」、
「湿熱型(F型)」、
「血瘀型(G型)」、
「気欝型(H型)」、
などに分類されています。

日本では、森道伯が一貫堂医学として「臓毒証」「瘀血証」「解毒証」の3大体質を提唱しています。これらの体質に関して、以下の論文も素晴らしいです。

「体質研究に対する中医学と日本漢方の比較」
劉園英
『北陸大学紀要』 20, 37-49, 1996
(全文オープンアクセス)

鍼灸をしていると、体質について感じるのは鍼の刺激に対する感受性です。中医学の理論上、実証では拒按、虚証では喜按です。しかし、痛みや刺激の感受性について、例えば学生で太い鍼や中国鍼が苦手な人はいつまでたっても強刺激が苦手な人が多いし、実証体質の人で細い鍼や接触鍼に対して全く鈍感なタイプはずっと鈍感なことも多いです。敏感体質の虚証の方を治療して健康な状態になり、虚証が改善したからといって、中国鍼やパルス鍼はやはり苦手なままです。治療して変わらない以上、これは先天的な体質だと判断しています。性格も同じです。

「2.顔色」の五色は結構、長期的に妥当だと思います。赤ら顔で循環器と精神疾患をもっている方は何人も経験しました。青白い肝血虚タイプ、色白で呼吸器が弱いタイプ、色黒で腎が弱いタイプ、黄色で脾胃弱いタイプはあると感じます。これも治療したからといって、青白い色が少しは血色がよくはなりますが、青ベースであることは変わりません。

「3.肥痩」は西洋精神医学のエルンスト・クレッチマーが『体質心理学』を確立した『体格と性格』が有名です。臨床的にはかなり当たっていると思います。ノジェ博士のフランス式耳穴では重要となります。

・細長型:分裂気質:物静か・非社交的:統合失調症。
・肥満型:循環気質:社交的・温厚 明るいが時に落ち込む:躁鬱。
・闘士型:粘着気質:頑固、融通が利かない、時に爆発的に興奮:癲癇。

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