頭痛の経絡穴区帯と譚氏平衡鍼

経絡穴区帯を研究され、山西省山西医学院眼科の沙洛先生著『经脉穴区带疗法』中国中医薬出版社(2017年)です。日本の浅川要先生は、1985年に翻訳の『経絡反応帯療法 』(東洋学術出版社)を出版されています。

頭痛の「反応帯」というゾーンの「反応点」「敏感点」を点描しています。

「頭1帯」は前頭部で頭維(ST8)なども含まれます。
「頭4帯」はほぼ膀胱経です。
「頭5帯」は督脈です。
「頭6帯」は胆経です。
「頭7帯」は三焦経です。
「上肢9帯」は大腸経です。

あと「背部5帯(督脈)」「胸腹5帯(任脈)」「上肢5帯(肺経)」も書かれています。この沙洛先生の見解は勉強になりました。

1992年「経絡穴区帯の敏感点に針刺埋蔵による片頭痛治療155例の臨床体験」
经络—穴区带敏感点针刺埋藏治疗偏头痛(155例临床体会)
沈学明 沈大友 《中医药临床杂志》 1992年01期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-AHLC199201011.htm
※1986~1989年底4年中,我们采用穴区带疗法,头六区,头七区敏感点针刺埋藏治疗155例

この論文では「頭6帯」「頭7帯」を使われていますが私の実感とはズレがあります。

针灸治疗偏头痛选穴组方规律的文献研究
冯菲菲 《广州中医药大学》 2013年
http://cdmd.cnki.com.cn/Article/CDMD-10572-1013229146.htm
风池、太阳、合谷、率谷、太冲、百会、头维、阿是穴、足三里、丰隆

上記の太衝(LR3)や足三里(ST36)、豊隆(ST40)は入っていません。湧泉(KI1)も昔の1980年代から1990年代の中医学鍼灸の文献では片頭痛に使われていたと思います。列欠(LU7)も入っていません。頭痛には局所治療と遠隔治療の両方をいかに組み合わせるかが重要だと思うのですが、現状の分析では特に遠隔治療の部分が弱いです。

譚特夫先生の‘Acupuncture 1 2 3(立竿見影:立竿见影:lì gān jiàn yǐng:2007年)’ の76ページからの‘Headache’は面白いです。

ステップ1:病的経絡:両側の足少陽胆経
ステップ2:治療経絡
system1:三焦経
system2:心経
system3:肝経
system4:心経
system5:三焦経
ステップ3:選穴
system1:三焦経の両側の中渚(TE3)周辺の阿是穴
system2:心経の少府(HT8)周辺の阿是穴
system3:肝経の両側の太衝(LR3)周辺の阿是穴
system4:心経の少府(HT8)周辺の阿是穴
system5:両側の三焦経の中渚(TE3)周辺の阿是穴

ステップ1:病的経絡(Diagnose the Sick Meridian):左側の膀胱経
ステップ2:治療経絡
system1:小腸経
system2:肺経
system3:腎経
system4:肺経
system5:小腸経
ステップ3:選穴
system1:右側の小腸経の前谷(SI2)から支正(SI7)までの阿是穴
system2:両側の肺経の列欠(LU7)から少商(LU11)までの阿是穴
system3:右側の腎経の然谷(KI2)から太溪(KI3)までの阿是穴
system4:両側の肺経の列欠(LU7)から少商(LU11)までの阿是穴
system5:右側の小腸経の前谷(SI2)から支正(SI7)までの阿是穴

私自身が膀胱経や胆経の頭痛に対して肺経や心経のツボを多用するようになってきており、唯一の理論的根拠を提供してくれています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする