沢田流

1955年『日本針灸学派の見解』
我对日本针灸学派的看法
张兰泽
《上海中医药杂志》 1955年09期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-SHZZ195509019.htm

日本の針灸学は大別して古典派と科学派にわけられ、古典派は『難経』や『鍼灸甲乙経』、十四経絡を根拠に施術し、科学派は沢田健氏の発明した太極療法を代田文誌が発展させたものを根拠としており、この科学派は古典を排除し、経絡を否定し、自律神経刺激学説を採用し、鍼灸の病を治療する原理としている。両方の学派はそれぞれ治療効果をあげており、それぞれに長所がある。

1957年『洞刺(鍼で頚動脈洞を刺す)の理論と実際』
刺洞(针刺颈动脉窦)的理论与实际
代田文志 萧友山
《中医杂志》 1957年09期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-ZZYZ195709011.htm

やはり1955年から1957年にかけて日本鍼灸の経絡論争や科学派の動向も中国で報告されています。最近は中国の古典研究を代表する黄龍祥先生が「本当の鍼灸を知りたいなら、日本の沢田健先生の記録である代田文誌著『鍼灸真髄』を読みなさい」と発言したこともあり、『鍼灸真髄』の研究論文が2010年代にけっこう出版されていて驚きます。

2011年「沢田健先生の学術思想のエッセンス」
泽田健先生之学术思想撷英
林存奇 李国臣 呼兴华 陈维
《光明中医》 2011年09期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-GMZY201109029.htm

2013年「『鍼灸真髄』発掘」
《针灸真髓》掘藏
严君白 严晨 严华
《上海针灸杂志》 2013年11期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-SHZJ201311032.htm

2017年「『鍼灸真髄』沢田流鍼灸診療治療の思想の分析」
从《针灸真髓》初探泽田派针灸诊治思想
张立志 许能贵
《上海针灸杂志》 2017年10期收藏
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-SHZJ201710027.htm

2018年「『沢田流見聞録』の鍼灸真髄」
《泽田派见闻录》之针灸真髓
《国际中医中药杂志》2018年 第1期
http://www.cqvip.com/qk/92679a/201801/674350875.html
(オープンアクセスPDFファイル有り)

まず沢田健先生が釜山から吉林省延吉、汪清、琿春、和竜を遍歴したというのは初めて知りました。

沢田流の学術の特徴として以下があげられています。

1.五藏六腑をもって本とする、太極療法。
2.望診と触診の重視、経絡経穴診断法の思想。
3.自由闊達な灸法の使用法(擅用灸法)
4.古典に回帰しながらそれにこだわらず、新治療法の開発
(1)陽池(TE4)と中脘(CV12)による三焦の治療、子宮後屈の治療。
(2)督脈外5分の膀胱経1行線学説
(3)特効穴と独創穴
奪命による丹毒の治療。
騎竹馬による眼痛。
去梅8穴(膏肓、譩譆、騎竹馬、魄戸、神堂、膈兪、膈関)
四霊(滑肉門、大巨)、孔最による痔疾の治療、沢田流京門など。
(4)経穴は移動するという見解
(5)三焦は小腸の乳び管であるという新解釈
(6)病気の伝変

やはり「触診による経絡経穴診断法」「穴は移動する」という見解こそが鍼灸の本質だと感じました。邪気の出口をつくり、邪気の伝変を分析したのも沢田健先生の偉業だと思いました。

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