腧穴の主治の表現

2007年 「腧穴の主治の表記をいかに標準化するか」
腧穴主治的规范化表述
黄龙祥
《中国针灸》 2007年11期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-ZGZE200711016.htm
https://www.jtcma.org/activities/ref/2007-11.pdf

日本語訳、黄龍祥著「腧穴の主治の表記をいかに標準化するか」
https://www.jtcma.org/activities/img/tsubonohyouki.pdf

以下、引用。

腧穴の主治の表現は大きな論争となってきた歴史があり、その争点は次の点である。 腧穴は漢方薬(中薬)のような主治をもっているか、否か。具体的な主治にもとづいて腧穴の効能を抽出できるのかである。

【1. 腧穴の主治の特徴】
委中(BL40)は厥証、腰痛、痙証、瘧証など異なる病機であるといってもウナジと背中と腰といった特定部位に出現する病変であるのは共通しており、それゆえに足太陽膀胱経の委中(BL40)を取って取穴するのである。これは中医薬が弁証を強調するのと同じ道理であり、ただ、鍼灸の臨床では病変部位の特徴で、症状によって取穴することを重視するのである。この一点で黄帝内経と古代の鍼灸処方は非常に明瞭である。

【3. 腧穴の効能と主治】
古代文献から現代の鍼灸教科書の腧穴の主治をみてみたが、とくに特定穴の主治の病証の記載はますます増えており、さらに明確なルールがなく、学生や鍼灸初学者が学ぶのに一定の困難をともなう。この状況を変えるために多くの人が試行錯誤をしてきた。最初にある人が思いついたのが、腧穴の主治を根拠にして中薬(漢方)の表現に類似した「効能」の表現で設計して簡潔にするという方法である。漢方(中医薬)の方法である八法はまさに腧穴を温法、清法、消法、補法、汗法、吐法、下法、和法の八大類に分類し、さらに活血化瘀、温中健脾、補腎益気、清熱解毒、清肺止咳、など完全に漢方の効能を鍼灸の効能に移植したのである。

腧穴には中医薬における五味や四性などの属性はなく、腧穴の主治とは特定部位の症状を指しているのであり、 中薬の効能に対応した腧穴効能の実際的意味はないのである。

現代の腧穴の主治の表現形式は学校教育には便利だが、臨床実践には実用的でない。

腧穴の主治の表現は、特定部位に概括されるモデルが主要であり、あるいは特定部位のもとにまとめられる常用症状である。これが腧穴の主治の表現の発展方向になるだろう。

個人的には腧穴の効能をまなぶ過程で『傷寒論』以降の漢方の理論や処方を学ぶことができて、さらに漢方を学ぶことで東洋医学全体の歴史を学ぶことができ、メリットだらけでした。

 
 
 
 

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