不妊症と日本人男性精液の質

2017年5月24日『ジャパンタイムズ』
「専門家は日本が出生率低下に対して男性不妊症を調査すべきだと言う」
Experts say Japan should examine male infertility amid falling birthrate

以下、引用。

子育ての支援増加や残業を減らして両親のワーク・ライフ・バランスをとることなどが不妊問題の政治的議論の中心であるが、デンマーク人小児科医ニルス・E・スカケバエクは完全に異なる観点からみている。このニュースは、日本社会、タブーと見なして長らく無視してきた、より厳しい見方についてのウェイク・アップ・コール、すなわち男性不妊である。

「メイン・メッセージは、出生率がこれほど低い原因はわからないけれども、たぶん貧弱な精液のクオリティが関係していると考えるべきだ」とスカケバエクは先月、日本小児科学会の年次総会での講演時に『ジャパンタイムズ』に語った。

そして、新聞やメディアは決してそれについて言及せず、常に女性の仕事や社会的要素を非難する。

コペンハーゲン大学の成長・生殖部門の教授であるスカケバエクは精巣癌と男性不妊症、低い精子の質の学術的権威である。海外での研究は、過去数十年で精液の質が低下していることを示している。精子数は減少し、精子の水泳能力は減衰し、精子の頭部や尾部は奇型となっている。

スカケバエクは何年も貧弱な精液のクオリティはより大きな現象の一部であることを提唱している。彼は睾丸形成異常症候群を提唱している。精巣癌のような精液不全、停留精巣、尿道下裂は全て関連した現象であると彼は主張している。これらの問題の確かな原因はわからないが、第2次世界大戦以降の産業化と内分泌攪乱物質を含む化学物質を疑っており、それが男性の生殖機能を損傷していると彼は疑っている。

殺虫剤、金属、添加物やケア・プロダクトで内分泌撹乱物質は発見される。それらは妊婦の体を通過して胎盤や母乳から胎児に影響する。

彼は世界的な精巣がんの増加を指摘して、その理由として環境因子を疑っていると述べている。

「デンマークでは1940年代初期から精巣腫瘍の発生率が400%上昇している」と彼は言う。この傾向は他の先進ヨーロッパ諸国でも見られる。欧州がん観測所によると、ノルウェーとデンマークは精巣腫瘍の症例でヨーロッパをリードしており、2012年時点で年齢標準化率はそれぞれ10万人あたり12.7と12.5である。「デンマークで精巣癌のような現象が数世代にわたって400パーセント増加しているのを見ると、それは遺伝学ではありえない。それは遺伝ではなく、環境からの因子である」と彼は言う。

実際、男性の生殖機能障害を引き起こす人工化学物質の例は広く文書化されている。

2013年の欧州環境庁のレポートによると、農薬のジブロモクロロプロパン(DBCP)は1960年代から1980年代にかけてバナナやその他の熱帯果樹園の回虫または糸状虫に対して広く使用されていた。その結果、ラテンアメリカ、フィリピン、その他の地域の何万人ものプランテーション労働者がDBCPにさらされた後に不妊になったと言われている。

スウェーデンの映画監督、フレドリク・ゲルテンが撮影した映画『バナナの逆襲(Bananas!)』は、フルーツ大企業ドールの圧力で世界中で上映できず、日本でも自主上映の映画をみた人達だけが情報を知っています。農薬ジブロモクロロプロパンは乏精子症を引きおこすため、世界で禁止されています。

男性不妊の世界的権威であるスカエバエク教授が第一に挙げる男性不妊の原因なのに、農薬ジブロモクロロプロパンについて、日本ではほとんど知られていません。第二にダイオキシンが挙げられています

以下、引用。

「子どもができない女性を非難することをやめるべきだ。なぜなら、子どもができるのは生物学的プロセスであり、社会プロセスではない。これは生物学の問題であり、機能障害があるなら日本人は男性と女性の両方を見るべきだ」とスカエバエクは言う。

コペンハーゲン大学の男性不妊の世界的権威であるスカエバエク教授の意見は重要な情報ですが、3年経っても日本社会には流通しません。個人的関心として、東洋医学の「腎精」の問題であり、生命の根本である問題に対し、現代の東洋医学者がどのように情報を分析し、対処するのかを考えていきたいと思います。

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