産婦人科分野の鍼の計量書誌学

2021年3月「産婦人科の鍼の応用:ウェブ・サイエンスに基づく計量書誌学分析」
The application of acupuncture in obstetrics and gynecology: a bibliometric analysis based on Web of Science
Long Wu,et al.
Ann Palliat Med. 2021 Mar;10(3):3194-3204
https://apm.amegroups.com/article/view/66115/html
(オープンアクセス)

以下、引用。

(1972年から2020年11月までの期間での産婦人科分野の鍼の)出版量トップの5カ国は、1位アメリカ、2位中国、3位ドイツ、4位オーストラリア、5位スウェーデンだった。

(計量書誌学の)中心性でランキングすると、トップ5カ国はアメリカ、イギリス、スウェーデン、ドイツ、オーストラリアだった。中国は出版量は2位だが、研究において国際協力が欠けているために中心性は低かった。

国際的な鍼の研究方向において、われわれの統計分析は現在の研究が15トピックスに焦点を当てていることを示している。それは生殖、月経障害、疼痛が研究のホットスポットであることを示している。

鍼は人工授精における不安を緩和する。また、周産期における鬱への確かな効果を示している。女性の痛みはもう一つの研究のスポットであり、妊婦の腰痛あるいは妊婦の骨盤痛や出産時の疼痛緩和は高い満足度を得ている。月経期の痛みや線維筋痛症の女性の疼痛を鍼は効果的に減少させる。

文献の深層分析を行ったところ、鍼の論文が総合的医学雑誌、4大医学雑誌である『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(NEJМ)』『ランセット』『JAMAアメリカ医師会雑誌』『BМJ英国医師会雑誌』に掲載されることが近年増加している。膨大な数の鍼の臨床研究が出版されており、ランダム化比較試験が増加している。

産婦人科の鍼の研究のトップ5カ国はアメリカ、中国、ドイツ、オーストラリア、スウェーデンです。例えば第4位のオーストラリアでは、妊婦の半分が鍼を受診しているという調査もあります。

2017年1月14日
「妊娠問題を持った希望に満ちた母親たちが鍼や代替医療を受けることが急増している」
Hopeful mums with fertility problems increasingly turn to acupuncture and other alternative therapies
https://www.fertilitynz.org.nz/…/hopeful-mums-fertility-pr…/

以下、引用。

オーストラリア最初の補完医療に関する国民調査によれば、赤ちゃんがいる母親や妊娠問題を抱える女性の50パーセントが鍼師を受診し、30パーセントがナチュロパス(自然療法医)を受診している。

「伝統医学や自然療法は妊娠・出産の準備ケアをしている女性を支援するために協力する必要がある」と国立健康オフィスのエンデバー・カレッジの研究者、エイミー・スティールは言う。

アメリカでも実際に不妊クリニックを経営している先生と話したところ、西海岸の富裕層の不妊治療のファースト・チョイスが鍼であり、西洋医学の不妊クリニックを開業する際に、鍼クリニックに「不妊治療を受けている患者さんをクリニックに紹介してください」と営業でまわったという現実があります。フランスでは鍼灸助産師という制度が存在しますし、ドイツでも周産期の鍼がおこなわれつつあります。 

一方、日本の産婦人科領域では妊婦さんの半分が鍼を受診したり、不妊治療のファーストチョイスが鍼であるということは聞いたことがありません。患者さんの意識はかなり違うことがわかります。

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