蛍光染料による手厥陰心包経の視覚化と結合組織とファッシャ

2021年3月29日
「生体内での蛍光染料による手厥陰心包経の視覚化」
In Vivo Visualization of the Pericardium Meridian with Fluorescent Dyes
Tongju Li et al.
Evid Based Complement Alternat Med. 2021
 
 
 
フルオレセインとインドシアニングリーン染料を健康ボランティア15人の手厥陰心包経の真皮層に入れます。19回中15回、内関(PC6)に注入した蛍光染料が手厥陰心包経に沿って移動し、曲沢(PC3)に到達する現象が観察されました。同じ被験者の反対側の手で非ツボ部分に注射しても同じ現象が起こりません。超音波エコーで調べてもこの経路は血管と一致しません。
 
以下、引用。
正確に、この実験結果は鍼の経絡経穴の解剖学的構造の理論の統合を助けるかもしれない。
蛍光染料による線状の通路は前腕の結合組織に酷似しており、それはランジュバンの提案した結合組織フレームワークから構成されている。
 
 
結合組織、ファッシャの鍼研究者、ヘレン・ランジュバン先生 はNIHアメリカ国立衛生研究所内のアメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)の所長を務めています。
 
 
2018年8月20日
「アメリカ国立衛生研究所NIHはヘレン・ランジュバン博士をアメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)の管理者に指名した」
NIH names Dr. Helene Langevin director of the National Center for Complementary and Integrative Health
 
 
ヘレン・ランジュバン先生は『米国実験生物学会連合雑誌』で得気による鍼がグリップされている感覚は筋肉ではなく、結合組織が巻きつくことであることを実験報告されています。普通に考えて、鍼を豆腐に刺して雀啄・回旋すれば、豆腐はボロボロに崩れて鍼の周りはスカスカになりますが、人体の場合、逆に鍼を雀啄・旋撚すると、鍼が組織にしっかりとグリップされます。この巻きつく組織は筋肉ではなく、結合組織なのです。つまり、結合組織の組織の変型・リモデリングが起こっているのです。
 
 
2002年ヘレン・ランジュバン
「鍼の周囲の結合組織のエビデンス」
Evidence of Connective Tissue Involvement in Acupuncture
Helene M. Langevin
The FASEB Journal express article 10.1096/fj.01-0925fje. Published online April 10, 2002.
 
 
 
2010年にはハーバード大学のアンドリュー・アンとヘレン・ランジュバン先生が経絡経穴の下の皮下組織コラーゲンバンドと電気抵抗について論文を書き、この経絡経穴の電気抵抗の研究は完全にリバイバルしました。
 
 
2010年「経絡の電気抵抗:皮下組織のコラーゲン・バンドとの関連」
Electrical impedance of acupuncture meridians: the relevance of subcutaneous collagenous bands.
Ahn AC, , Langevin HM.
PLoS One. 2010 Jul 30;5(7):e11907.
 
 
 
今回の論文を読んで、日本の藤田六郎先生の筋運動性脈管外流体波動通路膜系を思い出しました。筋膜、結合組織のリンパ体液や電気の流れが経絡としたもので、『医道の日本・経絡経穴ファッシア論』や『閃く経絡』を読んだ際も、1960年代の日本の経絡経穴研究は凄かったと思いました。
 
 
「経絡の解剖学的・生物学的研究第4報筋膜・腱膜・靱帯等の役割」
藤田 六朗
『日本東洋醫學會誌』1964 年 15 巻 1 号 p. 14-18
 
 
 

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