シンクロ現象と情報ネットワーク

 
数学者、スティーブン・ストロガッツ先生のTED講義「驚くべきシンクロ現象」、字幕付きです。
 
鳥、蛍、魚、人間のシンクロ行動、あるいは「ホイヘンスの振り子」といわれる無生物のシンクロ現象を解説します。
 
ストロガッツ先生は社会学者、ダンカン・ワッツとともに『ネイチャー』にスモール・ワールド・ネットワークについての論文を発表したことが最も有名な業績です。
 
ストロガッツ先生の以下の本は名著です。
 
 
スティーブン・ストラガッツ
早川書房2014年
 

 
 
歴史的には、1950年代にノーバート・ウィナーが『サイバネティックス』で、マレーシアのホタルの同期発光現象や人間の脳波の同調・引き込み現象を記述しました。
 

 
 
1950年代にソ連でベロウソフ・シャボチンスキー反応が発見されます。化学の世界の自己組織化現象です。1962年、ブライアン・ジョゼフソンがジョゼフソン効果を発見し、後に33歳でノーベル賞を受賞します。1970年代はイリヤ・プリコジンが自己組織化の散逸構造の理論でノーベル賞を受賞しました。
 
ブライアン・ジョゼフソンは後にニューサイエンスや気功の世界に影響を与えます。イリヤ・プリコジンは1987年に『混沌からの秩序』を出版し、世界的ベストセラーとなります。1980年代の中沢新一の『雪片曲線論』はイリヤ・プリコジンを引用したもので、日本でニューアカデミズムブームを起こしました。
 

 

 
 
1991年、ジェイムズ・グリックのカオス理論を紹介した『カオス―新しい科学をつくる』が出版され、ベストセラーとなりました。「ブラジルの蝶の羽ばたきがテキサスで竜巻をつくる」というバタフライ効果が大きな話題になりました。
 

 
 
 
カオス理論の次に「複雑性」の理論が流行して大きな話題になりました。『SYNC: なぜ自然はシンクロしたがるのか』という本は、日本の非線形科学を代表する蔵本由紀先生の蔵本モデルから始まり、ウィナーの『サイバネティックス』、ベロウソフ・シャボチンスキー反応、ブライアン・ジョゼフソン、カオス理論、複雑性などこの数十年の研究史をまとめつつ、自然界のシンクロ行動を解明していきます。
 
特に『SYNC: なぜ自然はシンクロしたがるのか』 の人間の睡眠などのサーカディアン・リズム研究は、不眠を臨床でみたことのある方は絶対に読んで得をします!
 
SYNC: なぜ自然はシンクロしたがるのか』 は、最終的に人間のシンクロ行動の探求はアメリカの社会学者、ダンカン・ワッツのスモールワールド現象に終わります。ダンカン・ワッツは現在、SNSでのシンクロ行動の研究者です。インターネットの炎上は人間のシンクロ行動なのです。
 
 
 

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