明代の医書:熊宗立『医書大全』と『勿聴子俗解八十一難経』

 
2020年10月2日『捜狐』
「熊宗立氏の医書が『東瀛(日本)』に伝わる」
熊氏医书传东瀛
 
 
以下、『熊宗立伝』より引用。
 
十五~十六世紀、日本の医学に影響を与えた人物として熊宗立に比肩するものはいない。
 
 
 
「熊宗立伝―判明した生没年」
小曽戸洋『日本医史学雑誌』 45(2), 298-299, 1999-04-20
 
 
 
熊宗立(ゆうそうりつ:1409—1482)は日本の漢方・鍼灸に大きな影響を与えました。1467年に『医書大全』を出版します。元代の孫允賢『医方大成』と元末明初の医家、熊彦明『類編南北経験医方大成』などをまとめたものです。1467年は応仁の乱が起こった年です。
 
 
1528年に堺の豪商で医学を得意とした阿佐井野宗瑞が日本最初の印刷物として『医書大全』を出版しました。当時の堺は遣明船の発着地でした。以下の論文が詳しいです。
 
 
「阿佐井野宗瑞と『医書大全』の出版」
久保尾 俊郎
『早稲田大学図書館紀要』 (42), 157-176, 1995-12
(オープンアクセスPDFファイルあり)
 
 
新刊勿聴子俗解八十一難経. 巻之1-6,図 / 秦越人 著述 ; 熊宗立 俗解
 
 
 
熊宗立著『勿聴子俗解八十一難経』は日本に大きな影響を与えました。
 
以下、引用。
 
熊宗立著『勿聴子俗解八十一難経 』は日本に東伝したあと、1536年に日本の谷野一栢が翻刻出版した。これは日本で2つ目の中国医学の典籍出版である。
 
 
谷野一栢は戦国大名の朝倉孝景に仕えました。当時の朝倉孝景の越前には剣豪・富田勢源や佐々木小次郎の師・鐘捲自斎がいます。漫画『バカボンド』の時代です。谷野一栢については宮川浩也先生が書かれています。
 
 
「谷野一栢について(第1報)足跡・生卒・月舟寿桂」
宮川 浩也
『日本伝統鍼灸学会雑誌』 47(3), 202-223, 2021-03-10
 
 
「谷野一栢著 『難経抄』 所引医書について」
宮川 浩也
『日本医史学雑誌』 42(2), 36-37, 1996-05-20
 
 
越前の西福寺には『越前版・難経』の版木も現存しており、 谷野一栢の木像もあります。
 
 
真柳誠
「目で見る漢方史料館(30)現存する日本第2の医書印刷の版木-越前版『俗解八十一難経』」
『漢方の臨床』 37巻4号360-362頁、1990年4月
 
 
これは必見です。
 
 
1467年:熊宗立『医書大全』
1528年:阿佐井野宗瑞『堺版・医書大全』
1536年:谷野一栢『越前版・難経』
 

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