石灰沈着性腱板炎と鍼灸による石灰沈着の消失

2019年「石灰沈着性腱板炎の熱性鍼灸治療の臨床研究」
热性针灸治疗冈上肌钙化性肌腱炎的临床研究
王德凤 蔡琳
《北京中医药大学学报》 2019年07期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-JZYB201907014.htm

肩が突然、激痛でまったく動かなくなるのが石灰沈着性腱板炎です。鍼灸不適応疾患だと認識してきました。西洋医学では、石灰沈着性腱板炎の原因は不明であり、ステロイド注射や超音波ガイド下の針による穿刺、理学療法などで対応してきました。

2018年ミラノ大学
「肩の石灰沈着性腱障害:メカニズム・病理学・治療からの臨床パースペクティブ」
Calcific tendinopathy of the shoulder: clinical perspectives into the mechanisms, pathogenesis, and treatment.
Sansone V
Orthop Res Rev. 2018 Oct 3;10:63-72. doi: 10.2147/ORR.S138225. eCollection 2018.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6209365/

2018年にギリシャの医師たちは電気鍼で石灰沈着が完全に消失した例を報告しました。

2018年4月ギリシャ・イオアニア大学
「石灰沈着性腱板炎の電気鍼:パイロット研究」
Electroacupuncture for the Treatment of Calcific Tendonitis. A Pilot Study
GeorgiosPapadopoulos
Journal of Acupuncture and Meridian Studies
Volume 11, Issue 2, April 2018, Pages 47-53
https://www.sciencedirect.com/…/artic…/pii/S2005290117300493

以下、引用。

すべての患者は電気鍼を2Hzで受けた。ツボは、肩井(GB21)、陽陵泉(GB34)、合谷(LI4)、臂臑(LI14)、肩ぐう(LI15)、外関(TE5)、肩リョウ(TE14)、肩貞(SI9)、秉風(SI12)などのツボを4日ごとに受けた。

詳細である。36歳の女性患者は右肩で6カ月もの間、石灰沈着性腱板炎で苦しんでいたが、最初に鍼治療を受けて疼痛が消失して正常な腕の動きを回復した。他のいかなる治療も受けていなかった。2カ月後、放射線評価で完全に石灰沈着が消失していた。

われわれの患者の5人が、鍼治療後に2~6カ月で石灰沈着が完全に消失したことは、より研究をすることに値する。

2019年7月の北京中医薬大学報の論文著者は、フランス、ACADÉMIE WANG DE MÉDECINE TRADITIONNELLE CHINOISE(法国黄家中医药学院)の王德凤先生とロンドン、Chinese Medical Institute and Registerの蔡琳先生です。

このフランスとロンドンの著者たちは、肩痛が激烈な時は太衝(LR3)、陽陵泉(GB34)、血海(SP10)、豊隆(ST40)に平補平瀉して、疏肝柔筋・活血去痰します。局所は患側の肩りょう、巨骨、臑会、阿是穴の灸頭鍼です。

肩痛が緩和されてきたら、阿是穴への火鍼をします。対照群として、100Hzで巨骨(LI16)と肩りょう(TE14)に電鍼を20分間します。

60例の石灰沈着性腱板炎患者を30例で割り付けして、灸頭鍼プラス火鍼の治療例では疼痛と機能障害が改善し、30例中で24例が石灰化が消失し、4例が軽減しました。まだ石灰沈着性腱板炎の鍼灸治療研究は始まったばかりですが、要注目だと思います。

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