近現代日本伝統医学

 
2014年「近代日本における食養論の展開」
並松 信久
『京都産業大学日本文化研究所紀要』 (20), 208-173, 2014
 
食養論にはさまざまなものがあるが、代表的な食養論である石塚左玄の食養論、桜沢如一の正食論、そして久司道夫のマクロビオティック(以下はマクロビ)運動を取り上げた。
 
陸軍の薬剤監であった石塚は伝統的な養生論の考え方を継承し、西欧近代科学の影響を受けてカリウムとナトリウムのバランスによる人体の生理を追究した。
 
桜沢は石塚の思想を継承した。しかし食養論を一般化するために西欧近代科学を用いるのではなく、陰と陽の両極によって世界を統一的に解釈する「易」の哲学を用いた。
 
これによって人体や生命を総合的にとらえることを主張した。そして桜沢の弟子である久司がアメリカで啓蒙活動を行なうことによって食養法の実践が広まっていった。 
 
 
 
石塚左玄、桜沢如一、久司道夫のマクロビオティックの流れについては、日本で臨床をする際に知っておいた方が良い知識ですが、上記論文は優れています。最近、このような優れた研究が多数、出版されています。
 
 
2016年
「スピリチュアル」の系譜を描き直す : ヒーリング技法「レイキ」の誕生から現代自己啓発言説まで
平野直子
『応用社会学研究』 (58), 81-92, 2016
(オープンアクセス)
 
 
レイキの起源の探究は非常に優れています。成立背景として、1914年頃からのスペイン風邪流行などのパンデミックや関東大震災などによる死亡率の上昇という「大正死亡危機」という指摘にはハッとしました。
 
 
2009年「野口整体の史的変容 : 近現代日本伝統医学の倫理生成過程」
田野尻 哲郎
『医学哲学 医学倫理』2009 年 27 巻 p. 1-12
 
 
「近現代日本伝統医学」という切り口が素晴らしいです。
 
 

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