レプチンとうつに関する覚書

2010年「レプチンの抗うつ作用と肥満に合併するうつ病態における意義」
山田 伸子 , 勝浦 五郎 , 海老原 健 [他] , 越智 ゆかり , 細田 公則 , 中尾 一和
肥満研究 :16(3), 188-191, 2010-12-25
https://ci.nii.ac.jp/naid/10029409726

日本語圏では、鍼とレプチンに関する論文は非常に少ないです。

1999年「食事性肥満ラットに対する耳介鍼刺激のエネルギー代謝機構, 特に血中レプチン濃度と体温に及ぼす影響」
小島孝昭1, 小川一1, 白石武昌1,2
『肥満研究』 5(suppl): 135-135, 1999.

臨床では、うつ状態の方が異常な食欲をみせたり、まったく食欲がなくなることは、よく観察されます。また、精神に作用する薬を飲む方が肥満する現象もよく見られます。

また、月経前症候群(PMS)の方が異常な食欲に悩んだり、あるいは更年期女性の不定愁訴症候群で異常な食欲や食欲不振がよく見られます。神経性食思不振症では異常な食欲の無さがあり、また、登校拒否などでは精神症状と消化器症状が同時に出ます。

2020年9月「慢性ストレスは成体の海馬神経新生の変化とともに前頭前野の有意な遺伝子発現変化を誘発する」
Chronic stress induces significant gene expression changes in the prefrontal cortex alongside alterations in adult hippocampal neurogenesis
Ksenia Musaelyan et al.
Brain Commun
. 2020 Sep 26;2(2):fcaa153. doi: 10.1093/braincomms/fcaa153. eCollection 2020.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/labs/pmc/articles/PMC7850288/

この2020年9月の論文は、レプチンと海馬とミクログリア細胞がストレスによるうつと関連している可能性を示唆しています。

レプチンはマクロファージにおける炎症性サイトカインTNFーαとインターロイキン6(ILー6)の産生を刺激し、脂肪組織のマクロファージと脂肪細胞は、それぞれ肥満の人の主要なTNFαとIL-6の供給源です。

※2021年5月18日「レプチンと肥満:役割と臨床的意義」
Leptin and Obesity: Role and Clinical Implication
Milan Obradovic et al.
Front Endocrinol (Lausanne). 2021; 12: 585887.Published online 2021 May 18.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/labs/pmc/articles/PMC8167040/

レプチンとうつと神経炎症に関して、新しい理論が勃興しているようです。YouTube、東洋医学の最新情報 vol.50「鍼・マクロファージ・抗炎症」で「レプチンと鍼」についてお話ししましたが関連の覚書になります。

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