腹診の臍上悸と腹部大動脈瘤

 
 
診断と治療社; 原著第4版 (2019/5/18)

 
 
若い鍼灸師さんに「腹診していると、臍上悸や臍下悸の患者さんは多いですが、腹部大動脈瘤のリスクはありませんか」と質問されました。
 
鍼灸不適応疾患の鑑別と対策―66症例から学ぶ』にも腰痛で受診した患者さんが腹部大動脈瘤だった症例が記載されています。

 
 
寺澤捷年先生の『漢方腹診考~症候発現のメカニズム~』にも、臍上悸でCT撮影を依頼したところ、腹部大動脈瘤だった症例が記載されています。
 

 
 
 
マクギーのフィジカル診断学』に腹部大動脈瘤の診察の記載があります。両手の人差し指で腹部の拍動を触知して、直径5センチメートル以上なら腹部大動脈瘤の可能性があります。
 
根拠は、2000年の『JAMAインターナル・メディスン』の論文です。
 
 
2000年3月27日
「腹部大動脈瘤を検出する理学検査の精確性」
The Accuracy of Physical Examination to Detect Abdominal Aortic Aneurysm
Howard A. Fink et al.
Arch Intern Med. 2000;160(6):833-836. doi:10.1001/archinte.160.6.833
 
 
以下、引用。
 
大動脈拍動の幅を測定するための腹部触診は、腹部大動脈瘤の検出の実証された値の唯一の理学検査のままである。
感度は、腹部大動脈瘤の直径とともに増加し、3.0〜3.9 cmの61%から4.0〜4.9 cmのAAAの69%の感度、4.0 cm以上では72%、5.0 cm以上では82%に増加した。
 
 
実際の臨床では、腹部の臍上悸の神経質で虚弱な患者さんが多く、判断に苦しみます。
 
 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする