MENU

人間行動と感染症

 

2016年4月24日『テレグラフ』
「神経性やせ症は微生物バクテリア感染によって引き起こされるのかもしれないと科学者は言う」
 
 
以下、引用。
 
神経性やせ症はバクテリア感染が人体の免疫システムを混乱させ、脳を攻撃し、自己嫌悪の感情を引き起こさせると科学者たちは示唆している。この理論は神経性やせ症は精神的、環境的、社会なものと関連するという従来の理論も対立する最初の理論である。
 
ランカスター大学の専門家たちは過敏性腸症候群、慢性疲労症候群も同じ病理を持っていると信じている。
 
研究者たちが指摘しているのは、女性が免疫システムが自分の健康な細胞を攻撃する悪性貧血のような自己免疫疾患に罹患しやすいという事実である
 
以前の研究によれば、過敏性腸症候群や慢性疲労症候群はバクテリア感染によるものかもしれない。
 
過敏性腸症候群の始まりは感染性下痢のエピソードから始まるが、慢性疲労症候群も感染性単核症やウイルス性肝炎によって引き金を引かれる。
 
例えば、子ども時代の身体的・性的虐待の増加により、明らかな機能障害が起こっているのかも知れない。
 
子ども時代が大人になってからの症状に影響を与えるということを理解するのは容易であり、虐待が機能障害を引き起こす唯一の条件であるという盲信が広がっている。
 
先週、神経性やせ症は女子校で流行しており、物理的感染でないなら、社会的に感染しているのかも知れないと示唆する論文が出版された。
 
 
 
神経性やせ症は幼児期の虐待が原因ではなく、感染症が原因の可能性があるという新理論です。神経性やせ症は特定の学校に多発しており、「幼児期に性的虐待を受けた女子学生が特定の学校の特定のクラスに集まる」と考えるのは合理的ではありません。このような「神経性やせ症が感染症によって起こるのではないか」という傍証は強くなっています。
 
 
2019年4月24日『JAMA精神医学』
『青年期の女性における摂食障害と小児期の感染暴露によるリスクの関連』
Association of Exposure to Infections in Childhood With Risk of Eating Disorders in Adolescent Girls
Lauren Breithaupt,et al.
JAMA Psychiatry. 2019;76(8):800-809
 
 
小児期に感染症になった女児は思春期に過食症や拒食症になりやすいというデンマークの研究です。
 
 
2021年3月17日
「ダニ媒介性感染症によって引き起こされる神経性食欲不振症:症例研究」
Anorexia Nervosa Caused by Polymicrobial Tick-Borne Infections: A Case StudyKinderlehrer DA
International Medical Case Reports Journal » Volume 2021:14 Pages 279—287
 
 
ダニに噛まれて起こるライム病では疲労倦怠感や関節痛が起こり、アメリカの鍼灸師たちが鍼灸治療しています。ダニにかまれて拒食症になるという症例です。
 
 
2021年1月12日
オックスフォード大学のレビュー「神経性やせ症における腸内細菌ー味方か敵か?」
The Gut Microbiome in Anorexia Nervosa: Friend or Foe?
Ana Ghenciulescu et al.
Front. Psychiatry, 12 January 2021
 
 
神経性やせ症の患者さんたちは腸内細菌叢に異常をきたしており、治療法として糞便移植が検討されているという論文です。
 
実際には、他の精神疾患と同じく、精神ー社会ー身体の多くのディメンションから病気は構成されており、臨床ではその側面を念頭に置く必要があると思います。
 
 
 
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次