補完代替医療とバッド・インフルエンサーときれいな食事

 
 
2021年7月9日『BBC』
「ベル・ギブソン:癌だったとウソをついたインフルエンサー。新しいBBCドキュメンタリー『バッド・インフルエンサー』は、インスタグラムの最初の『スーパー・インフルエンサー』の転落を深掘りしている」
A new BBC documentary, Bad Influencer: The Great Insta Con, explores the downfall of one of Instagram’s first “super influencers” –
 
 
ベル・ギブソンさんは、インドのアーユルベーダやグルテン・フリーとシュガー・フリーの食事などの代替治療によって脳腫瘍を克服したと主張し、2013年に料理本やスマートフォン向けアプリなどを発売して、オーストラリア最初のスーパー・インフルエンサーとなりました。
 
 
以下、引用。
 
オーストラリア在住のカイリーは、2013年にリンパ腫により集中的な化学療法を6ヶ月受けた後、ベル・ギブソンについて聞いた。
 
カイリーは驚いた。ベル・ギブソンは美人で経済的に成功し、多くの人々に影響を与えていた。ベルは究極のゴールだったとカイリーは言う。
 
カイリーはベル・ギブソンと自分を比較せずにはいられなかった。カイリーは毎日、リンパ腫の化学療法を受けて髪の毛を全て失い、18回も腰椎穿刺をしていたのに、ベルはガンを克服して料理レシピを売り、夢を実現していた。
 
病院でカイリーはこう言った。「化学療法は私に効いていない。私は化学療法を止めて、きれいな食事を試みるべきだ。
 
 
 
しかし、ベル・ギブソンの脳腫瘍はウソでしたし、本やアプリの売り上げを慈善団体に寄付していなかったことが2015年にはバレました。2017年には、オーストラリア政府から詐欺行為のためすごい額の罰金を課せられ、差押を受けました。
 
リンパ腫のカイリーさんは再び化学療法を受け、寛解しています。化学療法で髪の毛が抜けて、とても痛い腰椎穿刺を18回も受けたら何でも信じたくなります。
 
 
人間は弱ったり、絶望した時に「絶対的な答え」を示すものにすがりたくなります。いま、インフルエンサーは断言や言い切りをする自己愛の強いナルシスト・タイプが多く、「潜在意識で自分に自信の持てない人々」がナルシストインフルエンサーにハマっていきます。自己愛にあふれ、経済的に成功し、自信満々に見えるビューティフル・ピープルと一体化しようとします。病気になると自信を喪失するからなおさらです。
 
 
絶望は「陰謀論」の栄養のようです。個人的には「絶対的真理は、絶対に存在しない」と小声でつぶやきながら、「究極の真理や解答」を否定し、相対的な不安定性の中に留まり続ける勇気を持ちたいと思います。
 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする