イチョウ葉

ドイツにはシュワーベ(Dr. Willmar Schwabe)というイチョウ葉エキスの会社があります。
 
 
ドイツのプロイセン王国時代に、ヴィルマー・シュワーベがホメオパシー薬局を創業します。
ドイツ帝国時代に、ドイツは1898年膠州湾租借地を租借し、中国の青島ビールをつくります。ドイツにイチョウはありません。この時代に、中国イチョウ葉とドイツ医薬学は出会ったそうです。
 
1965年にシュワーベ社はEGb 761というイチョウ葉エキス抽出成分を商品名「テボニン」として発売し、これは記憶力を良くするハーブとして世界中で大流行しました。
 
以下、引用。
 
【患者さんと(家族など)介護者へ】
 
イチョウ葉は何に使われているのか?
:イチョウ葉は記憶力の促進、循環の改善、耳鳴りの治療に使われている。
 
副作用は何か?
:低ナトリウム血症である。
 
他に知るべきことは何か?
:ワーファリンのような血液を薄くする薬を飲んでいるなら医療従事者に相談すること。イチョウ葉エキスは出血リスクを増やす。
 
てんかん発作の病歴があるなら医療従事者に相談すること。イチョウ葉エキスはてんかん発作を増やすリスクがある。
 
抗レトロウイルス薬、エファビレンツ(サスティバ)をHIV治療で飲んでいるなら医療従事者に相談すること。イチョウ葉エキスは薬物の効果を少なくする。
 
不安や睡眠障害、てんかん発作のためにメダゾラム(ベンゾジアゼピン)を飲んでいるなら医療従事者に相談すること。イチョウ葉エキスは薬物の効果を少なくする。
 
インスリンを使っているなら医療従事者に相談すること。イチョウ葉エキスは体に影響する。
 
統合失調症のプロクロルペラジンを飲んでいるなら医療従事者に相談すること。イチョウ葉エキスは発作のリスクを増大させる。
 
【ヘルスケア専門家へ】
大規模イチョウ葉エキスの記憶への効果研究は、アルツハイマー病や認知症を予防したり、認知機能の改善を示さなかった。
 
2つの臨床試験は急性脳卒中へのイチョウ葉エキスの効果を示唆しており、一つは卒中を老人で減らし、もう一つのエビデンスは弱く、バイアスのリスクがある。
 
がん患者へのイチョウ葉エキスの効果は極めて限定的である。二次アウトカムデータは、イチョウ葉エキスが癌のリスクを減らすことを支持していない。
 
 
 
客観的な分析だと思いました。
膨大なイチョウ葉エキスの論文を読むのは楽しく、以下が印象的でした。
 
 
2019年「局所抗菌剤としてのイチョウの16世紀の伝統的な漢方薬の使用の検証」
Validation of a 16th Century Traditional Chinese Medicine Use of Ginkgo biloba as a Topical Antimicrobial
François Chassagne
Front. Microbiol., 16 April 2019
 
 
2013年「神経精神障害におけるイチョウ葉の系統的レビューとメタ分析:古代の伝統から現代医学まで」
A Systematic Review and Meta-Analysis of Ginkgo biloba in Neuropsychiatric Disorders: From Ancient Tradition to Modern-Day Medicine
Natascia Brondino et al.
Evid Based Complement Alternat Med. 2013; 2013: 915691.
Published online 2013 May 28.
 
 
2017年「イチョウ葉と加齢性疾患の先進的研究」
Advances in the Studies of Ginkgo Biloba Leaves Extract on Aging-Related Diseases
Wei Zuo,et al.
Aging Dis. 2017 Dec; 8(6): 812–826.
Published online 2017 Dec 1
 
 
2021年7月9日「イチョウ葉」
Ginkgo Biloba
Tran Nguyen; Talal Alzahrani.
Last Update: July 9, 2021..
 

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