【BOOK】『中国古代史研究の最前線』

 
佐藤信弥
星海社新書 2018年
 

 
 
 
四川省文物考古研究院は2021年9月9日、四川省の三星堆遺跡から発掘された4500年前から3000年前にものと推定される大量の文物を発表しました!
 
1972年の『孫臏兵法』の竹簡発見や馬王堆『老子』の発見など、中国古代史はエビデンスによって激変しています。
 
私の学生時代は「世界四大文明の一つ、黄河文明」だったものが、長江流域の河姆渡遺跡の発見により、学説が書き換わりました。
 
そしてアワなどが中心の黄河文明、稲作の長江文明と言われてきたのに加えて、彩陶の仰韶文化(ぎょうしょうぶんか)、黒陶の竜山文化に四川省の青銅器と黄金マスクの三星堆遺跡が加わりました。
 
さらに司馬遷の『史記』に書かれていた伝説の夏王朝の遺跡らしきものまで出土しています。殷(商)の甲骨文字や金文の解読も急速に進んでいます。
 
 
1976年生まれの佐藤信弥先生は、最新の遺跡からの出土品や新研究を紹介されています。これこそ中国古代史研究の最前線です。感動しました。
 
実は、戦前の日本の中国史研究は問題だらけで、戦後も現代まで偏見があります。一方で、中国の研究も問題だらけであり、最新のエビデンスに基づいて全体像を俯瞰しないと道を誤ると思います。
 
専門家には暗黙知的に共有されていた前提を明文化して、俯瞰的な全体像を歴史に興味を持つ一般人に伝えるのは大きなことだと思います。
 
 

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