【BOOK】『中国の歴史1 神話から歴史へ 神話時代 夏王朝』

 
 
 
宮本一夫
講談社学術文庫
 

 
 
九州大学の宮本一夫教授による『中国の歴史1』は、2014年に中国で、2016年に台湾で翻訳され、150万部を超える大ベストセラーとなりました。
 
2019年には二里頭遺跡に二里頭夏都遺跡博物館がオープンして、中国政府は夏王朝の遺跡として宣伝しています。
 
客観的証拠から夏王朝の遺跡を分析しています。考古学者である宮本一夫先生の記述は信頼できます。
 
中国文化を学ぶ際に、三皇五帝の神話は必須です。
三皇は易を創った伏羲(ふっき)と女媧(じょか)、神農(しんのう)です。
伏羲は『易経』では易の八卦を創ったとされています。
 
 
古者包牺氏之王天下也,仰则观象于天,俯则观法于地・・・于是始作八卦,
『周易』系辞下
 
 
神農は『神農本草経』でも東洋医学とかかわりを持ちます。
 
五帝は『史記・五帝本紀』では「炎帝神農氏」と争って「黄帝」の世がはじまります。『黄帝内経』の黄帝です。
 
 
黄帝者,少典之子,姓公孙,名曰轩辕。轩辕之时,神农氏世衰。・・・以与炎帝战于阪泉之野。
《史记》五帝本纪
 
 
【『書経』と夏王朝】
堯(ぎょう)と蕣(しゅん)の時代に大洪水が起こり、聖人・禹(う)が黄河の治水をしたところから、中国最初の王朝である夏王朝が始まります。四書五経の一つ『書経』は堯、蕣、禹から始まり、儒教の孔子はこの三人を聖人としています。
 
 
 
夏王朝の最後の桀(けつ)王は、暴政のために殷(商)に滅ぼされます。
これらは司馬遷の『史記・夏本紀』『史記・殷本紀』に記録されています。
 
《史记》
 
 
殷の一つの謎が、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸などの十干が王の名前に使われ、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の十二支との組み合わせである六十干支が暦に使われていたことです。
 
二十四節気は戦国時代には始まっていたようであり、五行思想はどこから出てきたのかということは、東洋医学を実践する人間にとっては重要だと思います。
 
 
 

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