ストレート・ネック問題

 
 
2017年イタリア、シエナ大学の脳神経外科
「頸椎前弯の消失:予後はどうですか?」
Laura Lippa,et al.
J Craniovertebr Junction Spine. 2017 Jan-Mar; 8(1): 9–14.
 
 
臨床では患者さんからの質問に困ることがあります。
 
「わたし、~~先生に『ストレート・ネック』だから~病になると言われたんですけど」
 
 
以前からの懸案事項であり、「ストレート・ネック」で英語圏で検索しても、何一つ、根拠になりそうな情報はありません。Pubmedでは一本も論文がありません。
 
「ミリタリー・ネック」という言葉は存在し、同じような意味をもっているようですが、英語圏の訴訟専門の弁護士のホームページが最初に出てきます・・・。
 
 
そんな中で、2017年にイタリア・シエナ大学脳神経外科の医師たちが書いた論文を見つけることができて、本当に良かったです。1950年代から2017年に至る研究史をたどり、科学的な議論を時系列で紹介しています。
 
以下、引用。
ほとんどの研究が脊柱前弯症と痛みの間に相関関係を示さないことを考えると、このトピックに関する文献で利用できるものは明らかにほとんどない。
 
頸椎前彎の両方の測定を実行し、頸椎前彎に対する脊椎マニピュレーションの効果を研究した別の最近の研究では、再び相関関係は見つからなかった。
 
 
つまり、ビジネス的には秀逸なワードだと思いますが、ストレート・ネックという言葉に関して、科学的には何も言えることはないということが本質のようです。調べるのに大変、時間がかかりましたが、この情報は貴重だと思います。
ストレート・ネックという言葉をめぐる情報の混乱の中で、個人的には確信をもって臨床ができます。
 

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