外傷性脳損傷に手の十二井穴を用いる症例

 
 
2021年12月『针灸和草药(Acupuncture and Herbal Medicine)』
「外傷性脳損傷に対するドーパミンを介した鍼治療の覚醒効果と潜在的メカニズム」
Arousal effect and potential mechanism of dopamine-mediated acupuncture on traumatic brain injury
Zhao, Yadan et al.
Acupuncture and Herbal Medicine: September 2021 – Volume 1 – Issue 1 – p 22-30
 
 
 
外傷性脳損傷(TBI)、脳しんとう、慢性外傷性脳症(CTE)は深刻な問題です。
 
脳しんとうの世界に科学のメスが入りはじめたのは、2005年にベネット・オマルという医師がNeurosurgeryという医学雑誌にマーク・ウェブスターというNFLのスーパースターの脳の解剖所見を発表してからです。
 
ウィル・スミス主演のハリウッド映画、『コンカッション』で有名になりました。
 

 
アメフトのマーク・ウェブスターはスティーラーズのスーパースターでしたが、パンチドランカーのような奇行が目立ち、ホームレスとなり死亡しました。
 
ベネット・オマルが解剖したウェブスターの脳は、アルツハイマー病とは違うβアミロイド沈着とTauタンパク質の沈着が証明できました。これは慢性外傷性脳症(CTE)の特徴です。
 
ここから脳しんとうや慢性外傷性脳症、外傷性脳損傷の本格的な研究が始まりました。
NFLだけでなく、プロレスラーや格闘技選手、兵士の地雷による外傷性脳損傷から認知症状や人格変化が大きな問題となり、しかも西洋医学では治療法は存在しません。
 
この論文では、外傷性脳損傷による意識喪失に対して、手の十二井穴を用いることを推奨し、その機序をドパミンと論じています。
 
 
以下、引用。
 
ドーパミン作動系はTBI誘発性昏睡の鍼治療に関与している。
 
従来の治療法に基づいて手の十二井穴の強力な刺激、または瀉血と組み合わせた鍼治療は、昏睡の期間と病気の経過を大幅に短縮し、TBI誘発性昏睡の患者の覚醒と意識の回復を改善することができる。
 
 
 

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