橈骨神経管症候群

 
 
 
2021年8月31日
「回外筋への安全なドライニードリングの手順は?:上腕骨外側上顆痛と橈骨神経管症候群の治療可能性の死体研究」
Is Dry Needling of the Supinator a Safe Procedure? A Potential Treatment for Lateral Epicondylalgia or Radial Tunnel Syndrome. A Cadaveric Study
César Fernández-de-las-Peñas,et al.
Int J Environ Res Public Health. 2021 Sep; 18(17): 9162.
Published online 2021 Aug 31
 
 
上腕骨外側上顆炎は、ガイドラインでは上腕骨外側上顆の圧痛が必ずあります。
 
ところが、未熟な鍼灸師が「テニス肘=上腕骨外側上顆炎」と誤診している場合、上腕骨外側上顆に圧痛はなく、手三里(LI10)あたりに圧痛があります。
 
これは難治性テニス肘であり、橈骨神経管症候群であることが多いです。 
 
 
橈骨神経は尺沢(LU5)穴の下を通ると、運動性の橈骨神経の深枝と感覚性の橈骨神経の浅枝に
分かれます。
 
運動性の橈骨神経の深枝は後骨間神経として回外筋を貫きます。ドイツの解剖学者フリッツ・フローゼの名前を冠したフローゼのアーケードです。
 
 
感覚性の橈骨神経の浅枝の障害は、1932年にドイツの神経学者、ロベルト・ワルテンブルクが発表したワルテンベルク症候群、チェラルジア・パレスティティカです。
 
この論文、「回外筋への安全なドライニードリングの手順は?」では、遺体を使った研究で、回外筋へのドライニードリング刺鍼をした際に、橈骨神経の深枝と橈骨神経の浅枝を損傷しないかという問題を研究しています。
 
 
【橈骨神経管症候群の歴史】
1972年にロールズとマンダレイが難治性テニス肘、橈骨神経管症候群の概念を発表します。
回外筋症候群や後骨間神経症候群(PINS)とも呼ばれます。
 
 
1972年「橈骨神経管症候群:難治性テニス肘と神経絞扼」
Radial tunnel syndrome: resistant tennis elbow as a nerve entrapment
N C Roles, R H Maudsley
J Bone Joint Surg Br. 1972 Aug;54(3):499-508
 
 
橈骨神経管症候群の診断は非常に難しく、概念についても議論が多いです。
 
 
2015年7月ハーバード・メディカル・スクール
「橈骨神経管症候群:診断と治療のジレンマ」
Radial Tunnel Syndrome, Diagnostic and Treatment Dilemma
Ali Moradi, MD et al.
Arch Bone Jt Surg. 2015 Jul; 3(3): 156–162.
Published online 2015 Jul.
 
 
絞扼神経障害といいながら、筋電図は正常です。
ただ、この論文は非常に参考になります。
 
 
2021年4月23日
「橈骨神経障害」
Radial Tunnel Syndrome
Yelena Levina et al.
Curr Rev Musculoskelet Med. 2021 Jun; 14(3): 205–213.
Published online 2021 Apr 23
 
 
最新のアップデートであり、トリガーポイント・ドライニードリング鍼の症例が掲載されています。
 
 
2019年4月カナダ・ブリティッシュコロンビア州の症例報告
「橈骨神経管症候群のドライニードリングの効果:症例報告」
Effect of dry needling on radial tunnel syndrome: A case report
Sudarshan Anandkumar
Physiother Theory Pract. 2019 Apr;35(4):373-382.
 
 
 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする