インターネット「荒らし行為」と闇の三大属性

 
 
2021年6月28日『フォーブス』
「新しい研究は、ほとんどのSNS荒らし行為はダーク・トライアド性格と関連していることを示唆している」
New Research Suggests Most Social Media Trolls Have The Dark Triad Personality
 
 
アメリカ、ユタ州、ブリガムヤング大学の研究です。
 
以下、引用。
 
ブリガムヤング大学の新しい研究は、ソーシャルメディア荒らしについての驚くべき真実を明らかにした。
 
この発見は、パメラ・ブルベイカー博士とスコット・チャーチ博士という2人の教授により、学術雑誌『ソーシャルメディアと社会』で発表された。
 
荒らしている個人はグリーンモンスターでもないし、母親の家の地下室に住んでいるわけでもないが、ブリガムヤング大学によれば、彼らは高い頻度でダーク・トライアド性格であることがわかった。
 
(ダークトライアド性格は)、まず、ナルシシズム傾向がある(※この場合は他者の視点を持つことができないという意味)。
 
第2に、ダークトライアド性格はマキャベリアニズムである(※この場合は、他者を支配し操作しようとする性格を意味する)。
 
第3のダークトライアド性格の要素はサイコパス行動である。荒らしたちは反社会的であり、心理学者たちの言うドイツ語のシャーデンフロイデ(他人の不幸を喜ぶ)の特徴がある。
 
 
現在は「ナルシシズム(自己愛)」「マキャベリアニズム(他者の操作)」「サイコパシー(他者の不幸を喜ぶ)」という闇の三大属性、すなわちダーク・トライアドだけでなく、「サディズム(残酷な攻撃性)」を加えて闇の四大属性、ダーク・テトラッドとFacebookのユーザー研究から言われています。
 
 
2021年5月26日 アイスランド・レイキャビク大学
「ヘイターはよりヘイト行為を行い、荒らしはより荒らし行為を行う:フェースブックのトロール荒らしの性格プロファイリング」
Haters Gonna Hate, Trolls Gonna Troll: The Personality Profile of a Facebook Troll
Haukur Freyr Gylfason
Int J Environ Res Public Health. 2021 Jun; 18(11): 5722.
Published online 2021 May 26.
 
われわれの仮説の通り、マキャベリアニズムとサイコパシー、サディズムは、Facebookの荒らし行為と正の相関関係があり、サディズムがもっとも強い予測因子だった。
 
 
インターネット荒らし行為者であるトロールと、トランプ支持者には、ダーク・トライアドやサディズムを含むダーク・テトラッドがみられました。
 
 
現在、アメリカ、ロシア、ブラジル、フィリピン、中国で、選挙で選ばれた権威主義体制が流行しています。
 
精神医学者、エーリッヒ・フロムはナチスドイツ支持者を分析して、権威主義的パーソナリティという概念を提案しました。強者に従い、弱者に攻撃的になるサディズムとマゾヒズムが特徴的です。
 
権威主義的パーソナリティはどのようにして形成されるのかについて、日本を含む世界中の社会心理学者が仮説をたてて実験を行い、研究してきました。
 
 
「権威主義的パーソナリティ、幼児虐待、世代間連鎖」
荒木 義修『法政論叢』2003 年 40 巻 1 号 p. 58-65
 
 
「権威主義性格と子どもの頃の親子関係」
保坂 稔『ソシオロジ』2002 年 47 巻 1 号 p. 109-125,202
 
 
親子関係、権威主義的な教育など学校の問題、女性の場合は権威主義的なお姑さんの存在など、多くの研究があります。
 
現在は、SNSの発達により、性格パーソナリティについて多くの実験や研究が行われ、急速に人間の性格や行動がビッグ・データで解明されつつあります。
人間行動や心理学について興味のある人間にとっては、夢のような時代です。権威主義的パーソナリティというナチス・ドイツの登場以来の社会心理学者にとっての謎が解明されるかもしれません。
 
 

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