ミハーイ・コジンスキー教授による顔認証技術による性格診断

 
 
2021年 スタンフォード大学 ミハーイ・コジンスキー教授
「顔認証技術は自然な顔映像から政治的傾向を暴露できる」
Michal Kosinski
Scientific Reports volume 11, Article number: 100 (2021)
 
 
ミハーイ・コジンスキー教授が発表した論文では、AI人工知能にアメリカ・イギリス・カナダの100万人の顔データを見せて性格診断したところ、的中率が72%で「保守政党支持かリベラル政党支持か」をあてることができました。
 
人間では55%で、コインを投げて裏表が出るぐらいの確率です。人工知能は顔写真を見るだけで政治的意見を人間以上に推測できることができました。
 
 
2021年8月9日 『スタンフォード大学』
「私たちの顔写真を分析するAIの落ち着かない能力に直面する:ミハーイ・コジンスキーは議論を呼ぶ新テクノロジーの危険性を暴露して警告する」
Facing the Unsettling Power of AI to Analyze Our Photos
Michal Kosinski talks about exposing the dangers of new technologies and the controversies that come with it.
 
 
論文の著者であるスタンフォード大学の組織心理学者、ミハーイ・コジンスキー教授は、ケンブリッジ・アナリティカ事件の際に、イギリスの新聞『ガーディアン』に協力して、悪辣な心理学者、アレクサンドル・コーガンなどの心理操作テクニックを暴露しました。
コーガンがダークサイドに堕ちた心理学者だとすれば、コジンスキー教授はデータサイエンスと社会心理学を武器にしたジェダイの騎士です。
 
 
2017年 ミハーイ・コジンスキー『アメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)』
「デジタル化した大衆説得のためのサイコロジカル・ターゲティング」
Psychological targeting as an effective approach to digital mass persuasion
M. Kosinski,et a.
PNAS November 28, 2017 114 (48) 12714-12719
 
最近の研究では、デジタル・フット・プリント、Facebookの「いいね」やツイートから、精神医学的な性格を正確に予測できることが示された。
 
 
日本国内では、まったく逆の「マイクロターゲティングは効果がない」という情報が流通していますが、スタンフォード大学の出版物や『アメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)』を読んだことがないか、情報操作の意図があると思います。
 
 
『ケンブリッジ・アナリティカ』のデータ・サイエンティストで心理学者のアレクサンドル・コーガンは、Facebookの8,700万人のデータとアメリカ人2億人の性格データを用いて、ダーク・トライアド(闇の三大属性)と呼ばれる「邪悪な性格の人々」をFacebookの簡単な質問で検出し、それらの人々を情報操作して、トランプ政権誕生のための世論をつくりだしました。
 
もちろん、操られている人々は、自分がダーク・トライアドだ認めるわけがありません。
 
洗脳やマインド・コントロール、心理操作に関しては膨大な研究がありますが、日本では大学の心理学科に行っても絶対に教わらないです。
 
 
「マインドレイプ被害者への社会的支援制度 : 自己啓発セミナー被害から」
幸重 忠孝『法政論叢』2001 年 37 巻 2 号 p. 1-14
 
 
洗脳は捕虜に対して行われるのに対して、マインド・コントロールは集団力学に基づくというのは正確な理解です。
 
集団力学者、クルト・レヴィンのグループ・ダイナミクスの開発、ソロモン・アッシュが発見した同調圧力という概念がマインド・コントロールを可能にしました。
 
 
医学分野では、境界性パーソナリティ障害に「操作的な自殺企図」があります。医療者からより多くのケアを引き出すために自殺企図をすることです。ここから「操作的な人格」という人格の概念が発達しました。
「他者をだまして影響を与え、他者をまかすことで感情を高揚させる」人格です。
 
ナチス・ドイツの構成員を分析した概念、権威主義的パーソナリティ研究から、対人操作にたけたマキャヴェリアニズム の概念が1970年頃に認識されはじめました。
 
ロバート・D・ヘアが1970年代に犯罪心理学から共感性を欠いた「サイコパシー」の研究を行い、「サイコパス」をチェックする心理テストが生まれます。
 
 
フロイトが「自己愛性神経症」を提唱し、自己愛性パーソナリティ障害の概念が確立していきます。搾取的で傲慢で他者との境界を持たない自己陶酔型と、完全主義の回避型パーソナリティ障害があります。これらの人格特性の研究は、臨床を長年、経験したあとで勉強すると役に立ちます。
 
 
そして、2000年代から「マキャベリアニズム」「ナルシシズム」「サイコパシー」の3大暗黒属性を兼ね備えた人格特性をダーク・トライアドと呼ぶようになりました。
 
これらの概念は、もちろん医療・精神医学が基礎であり、心理学・データサイエンス・統計学が2010年代に飛躍的進歩をとげた結果です。
 
 
2000年代に、カナダの心理学者たちがプロのアイスホッケー選手の顔写真から「その選手が暴力的かどうか」を予測する論文を発表しました。
 
 
2008年「あなたの顔:顔の計測はプロフェッショナル・ホッケー選手の実験室での暴力行動を予測した」
In your face: facial metrics predict aggressive behaviour in the laboratory and in varsity and professional hockey players
Justin M Carré et al.
Proc Biol Sci. 2008 Nov 22; 275(1651): 2651–2656.Published online 2008 Aug 19.
 
この論文の新しい発見は、個人の顔の特徴から行動を予測できることである。
 
 
男性ホルモンであるテストステロンは顔の骨格の形成に影響し、暴力性にも影響します。
 
2020年にロシアの科学者たちは、顔のデータとビッグファイブ性格理論の論文を発表しました。
 
 
2020年5月22日
「リアルライフの静的顔イメージ写真からビッグファイブ性格理論を評価する」
Assessing the Big Five personality traits using real-life static facial images
Alexander Kachur et al.
Scientific Reports volume 10, Article number: 8487 (2020)
Published: 22 May 2020
 
 
顔の対称性が高いほど、性格は外向的になります。
 
テストステロンやエストロゲンが骨格に与える影響と、感情が表情筋に与える影響から、AI人工知能に機械学習させました。
 
以下、引用。
 
この研究は、個人の顔の外観から人間の性格を確証できるという新しいエビデンスを示した。
 
 
AI人工知能による顔認証データ分析が性格診断に使われる未来を示しています。
 
 
 
 

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