腎透析の鍼

 
 
2022年1月10日『EXPLORE』
「残存した腎機能を保護する:腎透析の鍼は追加選択肢になりうるか:症例報告」
Preserving residual renal function: Is interdialytic acupuncture an add-on option? A case series report
Hsuan-KuangJung et al.
EXPLORE
Available online 10 January 2022
 
 
以下、引用。
限外濾過量を減らすことなく、われわれは鍼を用いて残尿量を増やし、血液透析患者の残留糸球体濾過量を減らした。
 
鍼は、血液透析の適切性を改善するのに影響した。
 
腎透析の鍼は、血行動態を改善して、血液透析に関連した罹患率と死亡率を改善した。
 
鍼治療が残存腎機能の維持に寄与するかどうかはほとんどわかっていない。このケースシリーズは、血液透析治療を受けている末期腎疾患の5人の患者で残存腎機能を維持するための鍼治療の潜在的な有益な効果を示した。
 
【参加者】
血液透析患者は、毎週30分8回の腎透析の間の鍼で10個の選択されたツボ、すなわち印堂、迎香、董氏奇穴の水金穴、廉泉、商曲、天枢、四満、合谷、足三里、三陰交を用いて残尿量と残留糸球体濾過量を2週間に1回記録した。
 
一つのランダム化比較試験の結果として、12週間の鍼は偽鍼と比較してクレアチニン・レベルを減少させ、糸球体濾過量を増加させた。
 
 
2017年
「慢性腎臓病の患者の腎機能への鍼:シングル・ブラインド・ランダム化初歩的比較研究」
Acupuncture on Renal Function in Patients with Chronic Kidney Disease: A Single-Blinded, Randomized, Preliminary Controlled Study
Jung-Sheng Yu et al.
J Altern Complement Med. 2017 Aug;23(8):624-631.
 
 
以下、2022年論文より引用。
残存腎機能の間接的な指標として、尿量は炎症とネガティブな関係がある。鍼は喘息やリウマチ性関節炎のような炎症疾患を炎症阻害することで治療している。それゆえ、鍼は血液透析中の過剰な炎症や酸化障害を取り除き、残尿量と残留糸球体濾過量を増やすことに貢献した。
 
残存腎機能の改善だけでは残尿量、残留糸球体濾過量、および収縮期血圧の安定性の大幅な向上を説明することはできない。
 
私たちの以前の透析内鍼治療の症例報告は、理論的には鍼治療によって強化された血行力学的安定性が負荷、および心臓の負荷後の心臓のパフォーマンスの改善と左心室の減少に起因すると考えている。
 
この側面に関する先行研究の欠如は、腎機能の改善だけで残尿量および/または残留糸球体濾過量の増加を引き起こすという誤解が原因である可能性がある。むしろ、血液透析患者の状態を変えるのは腎機能と心血管機能の両方の同時改善である。
 
 
腎機能だけでなく、心機能が改善されることで、結果として、鍼は効果があるのではないかという仮説です。2022年1月でもっとも勉強になった論文です。
 
 

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