新しい小針刀技術:韓国の円鍼

 
 
2020年3月 韓国・大邱韓醫大學校
「円鍼による再発性手根管症候群の治療」
Round Acupuncture for the Treatment of Recurrent Carpal Tunnel Syndrome
Ju-ran Kim, et al.
J Pharmacopuncture. 2020 Mar 31; 23(1): 37–41.
Published online 2020 Mar 31
 
 
 
1976年に「はだしの医者」であった中国の朱漢章先生が開発した小針刀は、筋膜の癒着など瘢痕組織を切るような操作をします。
個人的には、大鍼や長鍼を使用する際の理論として応用しています。
 
韓国で小針刀をベースに、新しい円鍼が開発されました。
 
以下、引用。
 
円鍼は、九鍼の一つとして円柱状の鍼体と卵形の鍼尖である。筋肉の間をマッサージするために主に使われると言われている。
 
この論文で使われている円鍼は、小針刀をベースにデザインされた。反復性の手根管症候群に対して、完全に円鍼で改善した。
 
手順は横手根靭帯の創傷と癒着をリリースして、局所の組織をゆるめる。
円鍼の治療の間は他の治療は行われず、3回の治療だった。
 
最初の治療の後、夜間痛は完全に消失した。
最後の治療から1カ月後にはすべての症状が消失し、3カ月後も症状はなかった。
 
手根管症候群手術の成功率は75~90%である。手術は横手根靭帯を切断してスペースをつくることで手根管の圧力を減らす。
 
手根管症候群手術の失敗率は3~19%である。最初の手術が失敗すると再発性手根管症候群となる。再手術は40%が好ましくない結果となり、95%は持続性の症状となる。
 
鍼が神経に触れると、神経は1~2cmは動く。付け加えると、神経は半分は結合組織と脂肪組織から組成され、半分は神経組織で組成されており、鍼が神経に接触したからといって即座に神経損傷が起こるわけではないことが判明した。
 
小針刀で最も頻繁に起こる副作用は神経損傷である。鍼を挿入して、神経を刺激したところで、いったん鍼を後退させて、再挿入すれば神経ダメージは起こらないと考えられる。
 
手根管症候群に小針刀を使う際、正中神経損傷を考慮しなければならない。しかし、円鍼は小針刀と違って先端が鈍い。そのため、神経損傷に対してより安全と考えられる。最小限の侵襲性と患者の負担を減らすため、そして外科手術後の創傷と癒着を減らすために多大な努力がはらわれてきた。円鍼は、安全で効果的な代替手段になるかもしれない。
 
 
 
この論文で、最大の成果は以下の研究です。
 
 
2006年
「超音波ガイド下腋窩ブロック中の神経穿刺および神経内挿入は、常に神経学的損傷を引き起こさない」
Nerve Puncture and Apparent Intraneural Injection during Ultrasound-guided Axillary Block Does Not Invariably Result in Neurologic Injury
Paul E. Bigeleisen, M.D.
Anesthesiology October 2006, Vol. 105, 779–783.
 
 
針が神経に触れると、針がファッシャである可能性のある解剖学的構造を貫通する前に神経が1〜2cm移動する。針がこの解剖学的構造ファッシャを貫通すると、施術者はポップを感じることがあり、患者はしばしば知覚異常、または感覚異常を報告する。
 
 
 
 

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